山へ行く シリーズここではない・どこか1
なんか、不思議なテイストの短編です。
うーん、今までの萩尾 望都の作品では、小説でかいてきたようなフワフワした話が多い印象です。
そのそこに、不安とか、希望とか、いろんなものが、混沌としてある。
吉野 朔実は、終わってしまったはずの物語の向こう側をのぞきこもうとしている。
だから、物語に結末はなくて、唐突に終わる感じがする。
それ自体が、切り取られた時間だと主張するように。
おぉ。
すべての謎が、しっくりと収まって、ここまできれいに完結するとは。
しかも、タイム・パラドックスなテーマまでしっかりとかききって。
さすがというか、お見事です。
テーマ的には、夢の話ということで、わたしは「銀の三角」を思い出しました。
夢の中の夢の中の夢の中の夢……。
合わせ鏡のように、クラクラしながらも、お話の迷宮をあるいた気分です。
どうも、エズラに端を発しているみたいですが、まだまだ、全体像は、見えてこない。
本当に、次の4巻目で完結するのだろうか?
SFは、かなりきっちりまとめてくるとは思うのですが、けっこう、投げ出して終わっちゃうかも。
火星が、どうからんでくるのかが、1番、わからん……。
バルバラは、夢の世界?それとも、100年後の未来?
穏やかな世界に見えたバルバラも、なんか、仮面をかぶっているみたいです。
もう、ちゃんとストーリーを追いかけられているのかどうか?