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陰陽師 安倍晴明の末裔たち

荒俣宏といえば、「帝都物語」。
「帝都物語」といえば、「陰陽師」。

だと思っていたので、この本が「帝都物語」のあとに書かれたというのは、けっこう意外です。

荒俣宏は、博物学者をめざしていて、ものすごい知識を持っているというのが、わたしのイメージ。
だから、この本で書いたようなことは、もうとっくに知っているのだとばかり思っていました。

だいたいこの本、おもしろいんだけど、いつもの不思議な荒俣節が見られなくて、とってもおとなしい真面目な本になっています。
これは、荒俣ファンではなくて、新書の読者のために書かれた本ということなんでしょうか?

てな、作者への興味はおいておくとして(笑)

「陰陽師」というのは、本当におもしろい集団だなぁと思います。
僧侶であるとか、山伏であるとかは、信仰の結果として、超能力を得るわけですが、陰陽師の場合は、そういう中心になる信仰がないんですね。
そして、信仰がない故に、いろいろなものの技術だけを抜き出していく。
潔斎するのも、神に仕えるからではなくて、そうすると術の能力があがるからという身も蓋もないところがあります。

そういう魔術というのは、かなり珍しいのではないかと思ってしまいます。