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火垂るの墓 シネマ・コミック4

原作者・野坂 昭如が、アニメだと思ってバカにして(?)見たら、自分が住んでいた町並みとそっくりの家が出てきて、自分の記憶している通りの方角からB29が飛んできて空襲をして、そんなこと本に書いた覚えもなければ、今までだれにも話したことがなかったのにと驚いて、続く物語で、映画館(試写)に居たたまれなくなって、外に出た。みたいな話を聞いたことがあります。

原作自体は、淡々とした話で「こうとしか書けなかった」と言っていたり、自分の子どもが学校で、

「この物語を書いたときの作者の気持ちはどうだったのか?」

という問題が出たので、直接、作者である父親に聞いたら、

「あんなの書きたくなかったけど、原稿取りがまっていて、金が欲しかったから書いたんだ」

的なことを言ったとか。

「書きたくなかった」り淡々としか書けなかったというのは、それだけ作者のなかで、この話が昇華しきれていないということなんだと思います。

そして、その「痛い」部分を、容赦なくえぐってくる映画が、この「火垂るの墓」ですよねぇ。
原作者がかくしたことすら露わにしてしまうほど原作に即した映画。

これ、トトロと同時上演っていうのが、凄いですよねぇ。

子どもの心をわしづかみして、思いっきり突き放す。
多分、こっちを先に見た子どもは、トトロまでたどりつかなったのではないかと思います。
普通、途中で映画館でるわ。

でも、これは悪口ではなくて、それぐらい破壊力が強い映画だということです。

そして、お兄ちゃんは、まだ少年の姿のまま成仏できずにウロウロしている。
それは、原作者の野坂 昭如が生き残ったということであるし、罪が消えていないということもでもあります。そして、ぼくらのなかの罪の意識も、消えることがない。