荻原規子,読書勾玉シリーズ,徳間書店,荻原 規子,薄紅天女,風神秘抄,魔女,,BFT

風神秘抄

最近、1番お気に入りの作家・荻原規子です。
といっても、「勾玉シリーズ」しか、読んだことないのですが。それだけで、魅了されてしまいました。
最近は、「もうひとつの空の飛び方」1なんてのも、楽しんでます。

今、文庫で「西の良き魔女」も出ていて購入していますので、読むのが楽しみです。
こっちも、オススメした人が、2日ぐらいで読んじゃったので、きっとはまると思います。

最初の「空色勾玉」から、かなりうまかったのですが、これは、勾玉3部作を書いてからかなり時間をあけてから書いているからか、さらに磨きがかかっています。

「空色勾玉」とか、「白鳥異聞」のときは、基本的に女の子視点がうまい人なんだなぁと思っていました。
でも、「薄紅天女」で、男の子も、すごくしっかりと書けることがわかりました。

そして、本作。これは、すごいです。

基本的には、男の子から見た女の子なのですが…。

男の子から見た、あこがれの女の子(謎な女の子といってもいいかも)というのを書けてる物語って、けっこうあります。
それから、女の子から見た、あこがれの女の子の書けている物語っていうのも、けっこうあります。
そして、もちろん、男の子から見た等身大の男の子の物語、女の子から見た等身大の女の子の物語というのも、あります。

でも、この「風神秘抄」は、そういうのみんなかいた上で、「あこがれの女の子」も「等身大の女の子」も、「あこがれの男の子」も「等身大の男の子」も、実は同じものだよと、かききってしまって、それを登場人物にも、読者にも気づかせてしまう(しかも、あこがれの部分をちゃんと残したまま)。
ものすごい物語です。
そして、とてもストレートな恋愛小説です。

もちろん、草十郎も、糸世も、普通の人間ではなくて、選ばれた人間なんですが、それを感じささないものがあるんですねぇ。

そして、この2人だけだったら、とっても閉じた物語になってしまったと思うのです。そこにでてくる鳥彦王。
彼が、この物語の真の主人公であるかもしれません。
鳥彦王と草十郎の掛け合いは、最初の瞬間から、めちゃくちゃおもしろい。
草十郎と糸世の物語であるのですが、草十郎と鳥彦王の成長の物語でもあると思います。

「糸世が行っていた世界」についての言及は、ちょっといらなかったかも。と思ったりもしますし、勾玉シリーズにあった神様の力みたいなおおらかさは少なくなってしまったのですが。
それでも、今までのお話になかったいろいろなものをもっていると思います。

なんとも、すごい話を書いたものです。

  1. なくなりました。 []

荻原規子,読書ファンタジー,ヤマトタケル,徳間書店,歴史,白鳥異伝,荻原 規子,薄紅天女

薄紅天女

勾玉三部作の第3部です。

三部作の正しいあり方として、一部で始まって、二部で広がって、三部で落ち着いていきます。

だから、人にオススメするとしたら、広がっていく「白鳥異伝」の方です。
で、好きなのは、落ち着いていく第三部の「薄紅天女」ですねぇ。

むかし、「ウィラン・サーガ」というオーストラリアを舞台にしたファンタジーがあって、これも、三部作で、二部がメチャクチャおもしろくって、でも、好きなのは三部なのでした。

どっちかといういと性格的に、広がっていくものよりも、収まっていく方に、惹かれるからなのかもしれません。
もちろん、きちんと広がっていないと、収まりも悪くなってしまうわけですが……。

今回は、ものすごく落ち着いた物語という印象が強いです。
けっこう、旅もしてるし、勾玉の力もあるのですが、今までのスサノオの時代や、ヤマトタケルの時代に比べると、不思議な力のウエイトが落ちてきています。

ひとつは、神々の時代が終わって、人の時代の物語になったのだなぁということ。
だから、輝の一族の力も、闇の一族の力も、かなり薄められています。
これは、時代とともに、どんどん弱くなっていく印象がありますね。

それからもうひとつは、主人公が男の子だということ。
今までは、闇の一族の女の子と輝の一族の女の子のお話で、女の子が主人公でした。
でも、今回は、いつもと立場が逆転して、闇の末裔の男の子と輝の末裔の女の子の話です。
女の子は、ぐっと背景に下がった感じで語られています。(まあ、苑上はそれなりに活躍してはいますが…)
そして、この作者の場合、どうしても、活発な女の子と、無口な男の子という感じになるので、男の子主人公だと、ちょっと、話が落ち着いたものになるのかも(笑)

でも地味だからおもしろくないかというと、決してそんなことはなく、ドキドキは、けっこう最後まで続いて、最後の方は、

「もう、終わるのと…」

とページをめくるのがもったいなくなってしまう種類の物語であることは確かです。

なんと、最近、「風神秘抄」という最新作が出たそうです。
勾玉は出てこないけど、その歴史の中にある物語であるようです。
時は、平安の末期。より、人間たちの物語になっているんだと思います。

これから読みます。楽しみです。

ちょっと、最近、荻原規子は、有名みたいですねぇ。

実家に帰ったら、兄貴もはまっていて、ビックリ。