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元祖大四畳半大物語1 松本零士 BEST SELECTIONS

「男おいどん」の原型みたいなお話です。

「男おいどん」との違いは、下宿の人間との人間関係がかかれているところかな。ちょっと、大人向けです。

しかし、基本、「男おいどん」も、「聖凡人伝」も、これも、みんな同じ話です。

孤独は、環境ではなくて、心の状態なので、何者かになれるまで彼らが満たされることはない。そして、何者かになっていても、自分で納得しない限り、満たされない。

その心というか、恨みをずっと忘れないところが、松本 零士の凄いところです。

確実に、わたしの何割かも、松本 零士で出来ています。

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聖凡人伝6

「聖凡人伝」も、これで完結です。

このマンガのすごいところは、何十年か後、松本 零士が生きていたら、突然、また、きのうのことのようにはじまりそうなところですね。

「男おいどん」は、おいどんが旅に出るところで終わっていますが、出戻 始のこの日常は、今も続いています。
しあわせでもなく、さりとて、不幸でもなく。

それは、永遠に続く、青春時代かも。

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聖凡人伝5

なんだかんだといって、けっこう女々しい主人公だと思います。
特に最後の屋台の人が家庭を持っているところにショックを受けるところとか。

でも、その女々しさが、「凡人」なのかもしれないとも思います。

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聖凡人伝4

基本的に、ストーリーはないのです。
これを続けるというのは、けっこう、作者にとっても難しいことだと思うのですが、松本 零士にとっては、そうでもないのかな?

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聖凡人伝3

早名さんも、とうとう……。というエピソードは、さすがに、ショックでした。
まあ、誤解で良かった。

しかし、松本 零士のすごいところは、自分のやっているくりかえしに飽きないところだと思います。
同じパターンでも、おもしろいと信じて繰り返し繰り返しやっていると、本当におもしろくなってくるみたいな。

物語の区切りに、ナレーションが入るの構成なんて、この人のほとんどの作品で共通しています。でも、それが、様式美みたいになっていると思います。

「世も末だという言葉はあるが
 世の末が来たためしはまだないのだ」

とか、最後のナレーション、ものすごい名言があります。