ビブリア古書店の事件手帖4 栞子さんと二つの顔
江戸川 乱歩のお話。乱歩は好きなので、やっぱり興味があるので今まで以上におもしろく感じる。
結局、幻の原稿があったのかなかったのかは、わからないまま。まあ、わからないままの方がおもしろいこともある。
そして、栞子は、本よりも大介を選んだ……ということで、いいのかな。
母は、謎が残るけど、多分、いい人で不器用みたいな感じになるのかも。
Netflixで、「十二国記」のアニメを見て、けっこうおもしろいので小説を読んでみようということで……なぜか、「十二国記」ではなくて、「東亰異聞」、「屍鬼」と続けて読んでいます。
でも、めっちゃ雰囲気があっておもしろい。
ケレン味の効いたお話で、乱歩を思い浮かべたりしながら読んでいました。
ただ、読みながら心配だったのは、
「これ、どっちの話なの?」
ということ。
つまり、ミステリーなのか、ファンタジーなのか。
もう、ストーリーが進んで行くときには、どっちとして読んでも楽しいのですが、でも、心配になる。
ミステリーだと思って読んでいたのに、最後、全部の謎が怪異でしたとかだと、シラケるじゃないですか。でも、ファンタジーだと思って読んでいるのに、すべての怪奇現象がいや単なるつまらないトリックだからといわれるのもつまらない。
江戸川 乱歩なら、多分、ミステリーなんだろうと思いながら読める(多少、違うのもあった気がしますが)。
京極 夏彦は、ものすごく上手に煙に巻く(笑)
でも、この人の場合はどうなの??
ファンタジーとしても、ミステリーとしても、楽しいだけに、ラストのちゃぶ台返しが心配しておりました。
が、これすごい。
どっちで読んでも大満足でした。
多分、ミステリーファンも、ファンタジーファンも、満足すると思います。
さて、いよいよ、江戸川乱歩全集もこの「探偵小説四十年」の上下巻をもって終了です。
2018年中は無理でも、2019年には読み終えられそうです。
どんな知識でも、知識があるっておもしろいって事だなぁと思います。わたしが、オタクに憧れるのも、そういうおもしろさです。
むかし、植物博士と呼ばれる人と、山を一緒にあるいたことがあります。その人が、ものすごくいろんなことを説明してくれて、見えている世界が、まったくわたしの何倍もあることに気づかされたことがあります。そして、その人が見えている世界を教えてもらうだけで、自分の視野も広がってめちゃくちゃ楽しい。
もちろん、その広がった視野は、その人がいなくなったら、あったいう間に元に戻っちゃうのですが、それでも、その話を聞いている時間というのは、やっぱりいいものです。
で、この本。
江戸川 乱歩が、日本のミステリーの歴史について話しているんだから、もう、おもしろいに決まっています。
本当に、今も生きていて、栗本 薫や、京極 夏彦のことをどんな風に語ったかとか、聞きたいです。
さて、2003年から読み続けてきている「江戸川乱歩全集」も、残すところあと2冊。「探偵小説四十年」の上下巻でおしまいになります。
長かったと思うのですが、全部、読んでこれたというのは、やっぱり江戸川 乱歩が、とてつもなく面白かったのだと思います。
「陰獣」と「芋虫」が、この本の中では良い感じですね。普通な評価ですな。そういうものです(笑)
「陰獣」は、最後、ぼかしてあるとこが批判されているみたいだけど、アレはもっと深読みするんだ。わたしは、真犯人がきっと別にいて、それを分からなくするためにあの小説が書かれたのだと思っています。つまり、春泥の本当の正体は……。
そして、それを暴けという、乱歩からの挑戦なのです。
だから、あのラストの思わせぶりな言葉があるんだよ~と、信じています。
「芋虫」は、話自体は知っていたけど、読んだのは初めてです。ミステリーでも何でもないじゃんと思いながら、けっこう、想像していたほど陰惨な印象はなかったです。
どうなんだろう。今なら、書くことも、発表することも出来ないのかなぁ。
それはそれで、難しい時代だと思ってしまいます。