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千年の黙 異本源氏物語

「源氏物語」をはじめて読んだのは、高校1年のときです。なんで、時期まではっきり覚えているかというと、夏休みに勉強の合宿があって、そのときに渡された本が、「源氏物語」の現代語訳の抄本だったのです。
で、あんまり、いい印象がなかった。主人公が、好きじゃなかったですからねぇ。昔から、意味もなくもてる男には、反感が(笑)まぁでも、女の子のキャラがたっているのは、とても印象的でした。

で、その後、大学の古典で「源氏物語」を勉強する様になって、その前後で、「あさきゆめみし」を読んだら、けっこうおもしろくて、しかも、古典の授業が、今までになく良くわかる(笑)ということがあって、何回か、自分のなかで「源氏物語」ブームがおきて、現在にいたります。

ということで、この「千年の黙」も、去年読んでいた井沢 元彦の「GEN 『源氏物語』秘録」も、そういう自分のなかの「源氏物語」マニアな部分で読んでいる1冊です。

今回の「千年の黙」は、現代から「源氏物語」の成立を推理していくお話ではなくて、「源氏物語」が書かれた時代そのものを舞台として、どうしてそれが、その時代すでに、今の様なかたちになったのかという謎に迫っていきます。
それも、名探偵・紫式部が(笑)
これは、けっこう、惹かれるシチュエーションでした。

3つのお話ができていて、1話は、「枕草子」にも書いてある猫騒動のお話。2話目、3話目が、源氏物語の成立についてのお話です。
マニアとしては、2話目、3話目が、刺激的で好きです。雰囲気は、1話目がいい感じです。

読む前は、もっと軽いお話を想像していたのですが、けっこう読むのに時間がかかりました。
でも、この人の人物評価は、けっこう、わたしには納得のいくものでした。

そう、やっぱり、そんな大往生は、ゆるされないですよねぇ。

あと、これを読んでいて思ったのは、なんか、「源氏物語」の成立…というか、書かれ方とか、読まれ方って、今の同人誌とかともしかしたらよく似ているのかも……と思った。