江戸川乱歩,読書ホラー,ミステリー,光文社,光文社文庫,地獄風景,妖虫,恐怖王,悪霊,殺人迷路,江戸川 乱歩

屋根裏の散歩者 江戸川乱歩全集1

二銭銅貨

乱歩のデビュー作です。
推理小説を読み込んでいるだけあって、かなりひねくれたつくりになっています。

わたしは、どうせ推理ものならストレートな推理ものの方が、よいなぁとちょっと思います。

一枚の切符

チェスタートンのブラウン神父をちょっと思い出しました。
こっちも、「二銭銅貨」と同じく、ひねくれたところがあります。
ただ、こっちのひねくれかたの方が、性格はいい(意味不明だな)と思ったりしました。

二癈人

あとがきの「逆さまトリック」という話が、おもしろかったです。
でも、ちょっと無理があるかな。こういう無理が、乱歩らしさなので、悪くないです。

双生児

初期短編集だけあって、いろんな乱歩の趣味がでています。
これは、自分が自分を殺してしまうというイメージ先行の変な趣味が出ています。

D坂の殺人事件

明智小五郎登場。
しかし、このトリックは、卑怯な気もします。

でも、現実的には、こんなもんだろうなぁ。
不審者は、赤い車に乗って……。

心理試験

これは、思い入れのある1編です。
大学の心理学の講義のときに、あらすじを聞かされて、謎解きの部分をやったことがあります。
見事だまされて、感心した覚えがあります。
多分、それが、ファースト江戸川乱歩かな?いや、少年探偵団とかのシリーズは読んでいたか?

黒手組

これはまぁ、トリックがバレていたといえばバレていたのですが、爽やかな読後感で、嫌いじゃないですよ。
あぁ、乱歩の読者は、もっと変な趣味なのを求めたのかも。

赤い部屋

このどんでん返しが嫌われたということは、やっぱり、乱歩って、変な小説を求められていたんだなぁと思います。

日記帳

うーん、こんな恋愛は、きらいじゃないですけど、それをみて一喜一憂する気持ちは、わからないかも。

というか、女の子の暗号に気づかないというところが、間抜けすぎです。

そして、女の子のその後も、ちょっとよめちゃいました。

算盤が恋を語る話

同じ秘めた恋愛の話ですが、「日記帳」より、こっちの方が数倍好きです。
それは、もしかしたら、「算盤が恋を語る話」という題名が、好きというのも大きいかも。

この恋は、かなって欲しかったなぁ。こんなことする男の人は、けっこう好きかもしれない。
これほどマメではないのですが、内気なところが自分に通じるような気がするんだと思います。

幽霊

それほどつまらない作品とも思えないのですが。
しかし、ここでペシャンコになっても、後、あれだけの作品を書くんだから、偉大だと思います。

盗難

これは、軽快で落語っぽくっておもしろいです。
肩の力を抜いて伸び伸びと書いた感じです。

白昼夢

ミステリーというより、怪談っぽいお話です。
まあ、ポーとかも、ミステリーとホラーと両方書いていたし、けっこう相性はいいのかも。

でも、怖さにオカルト的なギミックを使わないところは、乱歩の意地だなぁ。

指輪

これは、「白昼夢」というより、「盗難」と同じ落語っぽいお話です。
これは、これでわたしは好きです。

夢遊病者の死

推理するから、間違える?みたいな感じがありますねぇ。
でも、夢遊病者ネタは、1回使っているので、新鮮みとしては、難しいかも。

百面相役者

このあたりの発想が、後のそのものズバリ「怪人百面相」につながっていくんだろうなぁと思うと、なかなか、味わい深いものがあります。

まあ、嘘オチ、夢オチは、あんまり何回もするもんではないのですが。

屋根裏の散歩者

乱歩お得意の退屈さんも、出て来ます。
さすが、すべてがつまっている初期短編集です。

しっかし、明智って、ものすごい正義の熱血漢だと思っていたのですが、それって、少年ものだけのイメージだったんですねぇ。

いや、すごい彼は、自首することすら見抜いていたからそう言ったのかも……。

一人二役

まぁ、実は、気づいてなくても、告白されればそう言うだろう……。
女は、こわい。

疑惑

うーん、上手に書いたら「幻の女」みたいな傑作になりそうですが。
そして、「幻の女」と同じように、後半は、メタラクタラになるという……。

人間椅子

これ、ありえなーーいとか思いながら、おしりムズムズしますよねぇ。
変態の乱歩パワー炸裂という感じです。

そして、こういうのが、思いっきり受けるその時代って……。

接吻

これ、「一人二役」の裏表のような話だなぁ。
で、結論は、やっぱり女はこわい……。

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目羅博士の不思議な犯罪 江戸川乱歩全集8

目羅博士の不思議な犯罪

ありえねぇ~。ということで、どっちかというと、ミステリーというよりホラーなのかな。
いや、ホラ話というのが、正確なのかも。

でも、ちょっと単純すぎるきらいはあるけど、乱歩の世界なんだなぁと思います。
けっこう、好きです。

地獄風景

ゴールテープの話あたりから、なんか、狂気のコメディみたいになってます。
そして、最後のオチが……。

でも、わたしの持っていた乱歩のイメージって、こんな感じです。かなりエスカレートした感じです。

恐怖王

喜多川夫人、怪しすぎです。

まあ、それ以外は、通俗小説として、けっこうおもしろいと思います。
うーん、乱歩自身の評価は、悪いみたいですけど。

偶然に頼りすぎているような気がしますが……。
うむ、ホームズでも、あったのか……。

火縄銃

これは、使い古された感じのトリックなので、けっこう先が見えていましたねぇ。
でも、これはこれで、悪くないと思います。

殺人迷路

なんじゃこりゃ。
えーと、連作小説の乱歩のパートだけを取ったものです。

わかるか!!

悪霊

ちょっと、期待されすぎな感じでかわいそうですねぇ。
しかも、わざわざ、お詫びの言葉まで書いている……。

できは、乱歩が自分でいうほど、悪くないと思うのですが……。

多分、乱歩は、自分の書きたい小説と、自分が書ける小説の間に、ものすごくギャップわ感じていたんだと思います。

でも、乱歩が書ける小説の世界が、わたしはけっこう好きです。

妖虫

これは、犯人から動機まで、読めてしまった。

いや、あんな派手なことしなければ、絶対に捕まらないのに……。でも、悪いヤツは、悪いヤツなりの美学でもって、やらなくてもいいことまでやってしまうのが、乱歩の世界。

パン。

と見栄が決まるよさがあります。