孔明のヨメ。10
いよいよ、三顧の礼です。
一番おもしろい三国志は、北方三国志だと思っていますが、好きなのは「孔明のヨメ。」かなぁと思います。
同じ箱の中に、「時の地平線」と、なぜか「天の華・地の風」も入っているという。
でも「天華地風」には、月英はでてこなかったかな。
「天の華・地の風」ラストです。
最後は、死せる孔明が生ける仲達をはしらせるところまで。
まあ、今まで散々してきたことを思えば……ふさわしいラストといえるでしょうねぇ。それが、誤解から来ているというのが、なんともこのお話の悲劇的なところではあります。
おまけとして、番外編が2つ。
「死者たちの昏き迷宮」は、まあ、おまけみたいな感じ。孔明の贖罪の物語なので、まあ、これがあるとそれなりにハッピーエンドなのかなぁ。でも、今までの話と一緒にして語れるものではないですね。
「桃始笑」は、この物語のはじまりのお話。
これは、本編の1番最初にもってきてほしかったなぁと思います。
まあ、これをかいた時点では、まったくこの先はなかったんだろうなぁと思いますが。だから、多少矛盾がありますが、お話全体として、そんな矛盾は、それほど気にならないと思うのです。
しかし、「三国志」の物語史上もっとも美しい孔明だったと思いますが、それがも、もっとも欠点のない完璧な孔明ではなくて、けっこう、本当にボロボロな孔明だったところが、このお話の良かったところだなぁと思います。
最終話に向かってまかれる悲劇の種。いいわぁ。
これが、やおい系だからというだけで、読まれないというのは、すごくもったいないなぁと思います。
まあ、やおいの基本もおさえているので、時には、赤面しちゃうんですけどね。
小説は、説じゃないの言葉通り、大いに嘘をついて盛り上げてくれます。
しかし、この孔明が、実は他の三国志の孔明よりも、もろくて人間くさいところがあるというのが、また、おもしろいですね。