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記憶の技法

吉野 朔実は、終わってしまったはずの物語の向こう側をのぞきこもうとしている。
だから、物語に結末はなくて、唐突に終わる感じがする。

それ自体が、切り取られた時間だと主張するように。

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ここだけのふたり!1

「ついに完結!」というあおりとともに、新装版が3巻一緒に出ていました。

家に帰って見てみたら、2巻までしかないな。もっと、なんか大河ドラマだったような気がしていたのですが。この人のマンガ、出ているかどうかわからないのが難点だ。

ほのぼの系だと思って読んでいたし、今見てもたしかにそうなんだけれども、すごい微妙な悪意(?この言い方をするとちょっと違ってくるな…)、吉野 朔実の作品にも通ずるようななにかを感じてしまうわたしでした。

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ぼくだけが知っている3

このマンガの行き着く先が、十一だとしたら、なんと無惨なほど正確に、この作者は現実を切り取ってしまっているんだろうなぁと思う。

でも、少しずつ礼智が、友だちにとけ込んでいったように、そして、結局、十一が助かってしまったように、行き着く先のそのさらに向こう側をなんとか、のぞきこもうとしている。
その部分を信じて。

そうした冷たいぐらいに冷静な目のにしか見えない真実もきっとあるから。

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ぼくだけが知っている2

「今林君の次に!!」

は、ちょっと笑ってしまった。でも、そういうことってあると思います。
これはでも、4年生ぐらいの感覚というより、2、3年生ぐらいの感覚かも。
3年生と4年生って、結構、壁がある気がします。どうでしょう?

ものすごく厳しいお話。でも、その厳しさの中に、現に生きているんだなぁと思います。それぞれに、それぞれの事情を抱えて。
でも、お母さんの優しさとお父さんの素直さは、どこかで救いになっているかも。

わたしは、合田くんが好きです。

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ぼくだけが知っている1

マスコミが、嬉々として子どもを殺している今この時期に、この本を読むというのも、なんともタイムリーというか……。

子どもの世界は、残酷で、偏見に満ちていて、そして、本人たちにとって「どうしようもないこと」でできている。かつても、いまも、これからも。
そんな、当たり前で、多分、子どもの時代には知っていた、そして、大人になるにつれて目をそらしてきた。そんなことでできているマンガです。

だから、礼智は、けっして特別な子どもではありません。例え大人にとって、それがどんなに非論理的で、ワガママ、子どもっぽく見えたとしても、それぞれ子どもたちは、自分の事情と、理屈の上で行動しています。

特に、大人と子どもの境界線にある10歳の時間のなかでは。