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鉄鼠の檻 文庫版

あいかわらずおもしろく、そして、おもしろいと思った時点で、全然話が進んでいないというスタイルです。

悪くないんだけどね。

今回のお話は、なんとなく今までの集大成的な感じがしないでもない。今までのお話が全部絡んできていて、そこがおもしろかったです。久遠寺さん、ものすごくいい人で好きです。

お話のメインは、禅。
これは、「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち」で、ちょっと理解したような気がしていたけれど、わかったようになるのが1番危ないとグッサリとクギを指された感じでおもしろい。「伝えられないもの」を「伝える」というのは、いったいどういうことなのか。そういうどうしようもなさそうな事を延々と積み上げてきたんだなぁ。

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史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち

西洋哲学編は、それぞれの哲人たちの結びつきが今一つ弱くて、全体の物語として弱かったのですが、この本は、一つの大きな物語としてもおもしろいです。

東洋哲学のすごさ、そして、その胡散臭さがどこからくるのか、これほどわかりやすく書かれた本はないと思います。

しかし、心理学のことを知れば知るほど、自分がそれによって救われにくくなるのと同じように、東洋哲学も、仕組みを知れば知るほど、その伝えようとする真理からは遠ざかっていくというジレンマ。

このジレンマがあるから、東洋哲学というのは、ある程度ぼかして書かないといけないのかも。なんせ、伝えようのないものを伝えようとしているのだから。

もちろん、そんなこと分かっていて、「それでもこの本を」という飲茶さんのメッセージが熱いです。

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史上最強の哲学入門

「哲学的な何か、あと科学とか」は、知的好奇心をグイグイ刺激してくれました。
「哲学的な何か、あと数学とか」は、フェルマーの最終定理の物語を通じて、数学史のおもしろさを知りました。

で、この「史上最強の哲学入門」ですが、… 読みやすさは、前2作と同じぐらい。内容の興奮度は、ちょっと落ちるかな。
でも、ニーチェの「神は死んだ」の意味とか、超人思想とはどんなものかとかは、初めて知りました。
ダメダメ、ルソーの話は、ちょっと講義できいたことはあるけど、それほど詳しくしらなかったです。

でも、どの哲学も、けっこう今日的でおもしろい。こんなに身近なものだったんだという驚きがあります。

読み終わった感想は、「普通の哲学入門書じゃないか」でした。
でも、題名も確かに、「哲学入門」。これは、これで正しかったんだと思います。

そして、「普通」よりは、はるかにおもしろかったのは確かです。わたしの飲茶レベルが上がってしまっているので、不満みたいに感じていますが。
実に、おもしろいです。