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ようこそ、一人ひとりをいかす教室へ 「違い」を力に変える学び方・教え方

このやり方は、イメージは理解できるのだけれども、教師側のノウハウが蓄積していかないのではないかという懸念があります。
本人の中で、得意な人は知見を蓄積していけるのですが、それを他に伝えるのが難しいような。今でも、名物教師の名人芸といわれるものは、そんな感じではありますが。
そうして、原型とは「似て非なるなにか」が、ものすごく蔓延する可能性が大きいのでは。

まあ、翻訳ものなので、単純に日本にあてはめられないところが、前提条件にあったりもします。
例えば、子どもが何人ぐらい教室にいることが前提かとか。時間を解体してゆるやかに学ばせるためには、教科担任制では無理ですよねぇとか。
アメリカはの先生は、確か「4年生の先生」だと、ずっと、4年生専門の先生になるという話だったと思いのます。
そうすると、4年生で教えるべきことに年々、習熟できる。
日本の場合は何年生を担任するかは、基本、不明。そのため、その学年で教えるべき知識というのは、毎年、教師も深めるよりは広げるかたちで学習していかなければならない。
まあ、全体を見ることができるという意味では、日本のやり方も悪いわけではないのだが。

そこに最近は、小学校でも算数の専科なんかが入ってくる。専科の教員が少ないクラスを持っているのならいいのだが、まあ、担任と同じように25時間とかもってしまうと、もうがっつり時間割の動かしようがなくなってしまう。

そういうことも考えると、今のギリギリの人数で学校をまわしていって、それと同時に「一人ひとりをいかす」なんてのは、かなり無理がある。

本気で改革を考えるなら、予算を投入して、人数を増やすしかしかたがないと思います。

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人についての思い込み2 A型の人は神経質?

まぁ、昔、先生によく言われたことは、

「食べ物の好き嫌いは、人の好き嫌いに通じる」

みたいなことです。

だから、食べ物の好き嫌いをなくして、人の好き嫌いもなくせみたいなことを言われたりするわけですが、なんの根拠もない。そして、そこに相関関係があったとしても、だからといって、食べ物の好き嫌いを無くしたからといって、人の好き嫌いがなくなる理屈もわからないという。

まあ、健康のためといわれた方が、しっくりくるのに、なんか人格にひっかけて言うとするのは、なぜなんでしょうねぇ。

そして、自分がそんな通らない理屈を言ってないかどうかは、よく考えないといけません。

大人も読むべき本ですね。

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人についての思い込み1 悪役の人は悪人?

社会心理学は、大学で1番面白いと思った勉強でした。
これらの話自体は、大学時代に1度は聞いている話なのですが、やっぱり、面白いなぁと思います。

これは、子ども向けに書かれた本なので、内容もとてもわかりやすいです。

人にはそういう傾向があるということを知ったり、自分の考え方には、ある歪みがある事を意識する事で、出来事に対して今までとは違った見方が出来るようになる気がします。それが正しいのかどうかはわからないし、それを人に振りかざしてなにかを説得しようとか、進めようとかは思いませんが、それでも、その違った角度やメタな視点を持つという事は、とても大切です。

浜名先生、お元気かな。

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本当にわかりやすいすごく大切なことが書いてあるごく初歩の統計の本

仕事で必要になったから泥縄で読んでいる統計学の本パート3です。

というか、この作者の吉田先生って、わたしが大学時代にお世話になった先生です。
その頃は、わたしが入っていた大学のゼミの先生の助手をされていました。

教育学と心理学の先生だと思っていたのに、なぜ統計の本なんて……と思いましたが、よく考えれば、心理学ってそういえば統計の塊みたいな学問でした。でないと、科学的な研究をしているのか、エッセイを書いているのかわかんなくなりますからね。

まあ、実は教育学もそうで、今、全国学力調査の話なんかして、マスコミなんかは都道府県の順位を出して、なにか伝えたつもりになって喜んでますが、実は大切なのは、そこから何が読み取れるかということだと思います。
それも、「あぁ、何県何位だったとか」そういうことではなくて、「このでている差というのは、本当に差として考えていいのか?それとも誤差なのか?」という部分から考えていかないといけないのだと思います。
本当は、そういう単純なデータではなくて、分析された結果こそを伝えていかなければならないのだし、その時に、ミスリードしないことを考えなければならないのだけど……。
もちろん元のデータについては、分析結果に疑問をもったときのために、アクセスできなければならないと思いますが。

というか、多分、このテストが当該学年の悉皆調査の時点で、まぁ、いい加減な人間がデザインしているということがわかりますけどねぇ。

わたしたちは、普段、ものすごく単純にしか物事を捉えることができない。けっこう、いろいろなところで、錯覚を起こします。
たとえば、「朝食を食べている家庭の子は成績がいい」とか聞くと、「じゃあ、子どもに朝食を食べさせなければ!!」とか、単純に思いがち。
もちろん、朝食を食べることは大切だけど、じゃあ、「朝食を食べれば成績があがる」かというと、そんなことはない。多分、もっと上に両方に影響があるような要因があるはず。
その捉え方をいろいろな面から拡張してくれるのが、統計なのかなぁと思います。
でも、錯覚をおこさせるのも、統計だという、ものすごい諸刃の剣だ。

で、この本ですが、そういう諸刃な部分にたいする記述が、けっこうおもしろく書いてあります。
コレを読んで、やっと前2冊の本に書かれている内容がわかってきた気がします。
まあ、まだ難しい部分もあるのですが、読み物としておもしろい本になっています。

お酒の話を聞くと、吉田先生の顔を思い出します。

最後の練習問題とその後のお話とか、いいわぁ。

これと「心理学のためのデータ解析テクニカルブック」とあと2、3冊で、何とかなりそうです。