二〇〇二年のスロウ・ボート
彼が治療に何の効果もなくて、自分がそんな者必要なく良くなったのだと考えるのなら、それはそれで、結構。
つまり、治療がとても上手くいったということなのだと思う。
という感じで、アレのリミックスということで、かなーり、ギチギチに警戒して読み始めた「二〇〇二年のスロウ・ボート」ですが。
コレは、アレの100倍ぐらいおもしろいです。
というか、どこまで行っても、ストーリー指向です。古川 日出男。雰囲気だけで書いているアレとは大違いだと思います。
まあ、これはわたしがストーリー指向であるためだと思います。
そして、これも偽史。ここでも、さりげなくフィクションの歴史が、現実を侵略してきます。
徹底している。
特に好きなシーンは、ブラック・ジャックの様に、女子高生が制服の裏の包丁を見せたるところ。
そこから先の疾走感は、最高です。
そういえば、このお話では、走るっていうのが、ものすごい大事なテーマになっています。脱出のために。そして、何かを得るために走る。
最後の手紙まで、本当にドキドキして読みました。
でこねぇさんは、この本を見て、
「これ、あの怖い話書く人だよねぇ」
といっていました。
わたしは、この人、怖い話というイメージはまったくないのですが。
ひたすら、中二的にかっこいい。