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萩尾望都 総特集 少女マンガ界の偉大なる母 文藝別冊

世代によって、感じ方とか、重要と感じる作品は違ってくるとは思うのですが、どの世代から、神と思われているというのは凄いことです。
そして、今もかき続けている。

わたしにとっては、「11月のギムナジウム」や「トーマの心臓」が、やっぱり1番中心にあって、その周辺に「精霊狩り」とか「ビアンカ」とかの一連の作品があるのですが、ある人にとってはそれが、「半神」であったり、「残酷な神が支配する」だったり、「ポーの一族」だったりするのだろうというのは、ものすごく理解できる。
その作品を読んだ時期によって、その価値が大きく変わってしまうぐらいに柔らかにできているのが萩尾 望都の作品だと思います。

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栗本薫・中島梓傑作電子全集3 ぼくらの時代

ぼくらの時代

まあ、わたしらよりも1世代上の人たちの青春である「ぼくらの時代」です。
多分、わたしらは、「ぼくらの時代」よりも、「グイン・サーガ」から栗本 薫に入ったのではないかと思います。もしかすると、「トワイライト・サーガ」からかもしれない。
おそらく、「ぼくらの時代」をはじめて読んだのは、中学生ぐらいのときかなぁ。

でも、一世代上といいつつ、小学生時代から従姉の影響もあり、少女マンガなんかをよく読んでいたわたしとしては、良くわかる話だなぁというか、同世代の空気や雰囲気は、感じていたような気がします。
まあ、ねぇさんのと気があったり、話があったりするのは、この辺の教養のおかげです。

多分、これ小説読む前に、雑誌にのったマンガを読んでいるんですよ。そこで、

「笑ったね、悪党ども」

という名セリフも読んでいたし、トリックもしっていました。

いや、本当にそんなマンガがあったかどうかは、確かめようがないのですが、たしかに、このテンポや会話、知ってると感じながら読んでました。

なんだろう。なかにめちゃくちゃウェットなものを含んでいるくせに、やっていることはものすごくドライというこの感じは、まさに時代だよねぇとしかいえないです。
その頃のわたしの行っていた中学は荒れていて、そういう雰囲気ともフィットしていました。

その時の「空気」が、わからない人にとっては、全然、理解できないのではないかと思いつつ、その時の「空気」をものすごく正確に切り取っているという意味では、やっぱり、名作なんだと思います。

文体は、かなり計算されていてあざといと思います。まあ、そこを含めての空気かな。

ぼくらの気持ち

少女マンガ家たちの世界が舞台という以外は、案外覚えていないものです。

まあ、覚えていたのは、ヤスが就職した。ダーティペアが出てきた。みたいなことだけ。
薫くんの恋とか、どんな推理があったかとかは、さっぱりです。

ああでも、名探偵の謎解きのない推理小説なんてつまらないというのは、覚えていた。というか、ここで読んだのか。どっかで聞いたセリフだと思ったけれど、この本だとは思わなかった。

時代は、やおい華やかりし頃。で、けっこう、その世界の大御所の割には、辛辣です。
まあ、「ぼくら」シリーズは、他人から受け入れられるために書かれている小説なので、まあ、そういう書き方になるかというのもわからないでもない。多分、前回読んだときには、そんな辛辣さは、わたし自身もそんなに気にはならなかったので、時代がかわったというのもあるかもしれない。

でもなぁ、自らのバンドに「ポーの一族」ってつけている薫くんが、そこまで、やおいを嫌うかというのは、ちょっとあります。まあ、そういうポーズをしていないと、何をいわれるのかわかったもんじゃない時代でもあったんだと思うけれど。
そして、薫くんが、その時代を映す鏡としてのキャラクターだとしたら、そういう反応しかありえないのだともおもうのだけれども……。ちょっと、もやっとする感じではあります。

「猫目石」で、薫くんが恋する話を覚えていて、あぁ、でもこのキャラクターの女の子の好みというのは、ものすごく一貫しているんだなぁと、それは、今回あらためて読んで見て、ものすごく思いました。

ぼくらの世界

ぼくらシリーズって、3人組が一人一人離れていく話なんだなぁと。
「ぼくらの気持ち」ヤスが離れて。「ぼくらの世界」では、ほぼ薫くん1人の物語と言ってもいいと思います。

そういう変化と、感じなくてもいいぐらいの自分を持っているはずなのに、時代の空気というを感じずにはいられない作者の栗本 薫との葛藤があるみたいで、あとがきがちょっと切なくて楽しかったです。

シャーロック・ホームズ賞を巡る事件ですが、甲野乙骨が、格好いいよねぇ。
あと、ダーティペアのケイちゃんは、結婚したんだとビックリした。

猫目石

栗本 薫VS伊集院 大介。
といっても、そんなに戦っている訳ではなくて、はじめっから大介は薫くんのサポートにまわっている感じです。

これも、読んだことあるはずなんですが、ラスト以外はまったく覚えていませんでしたねぇ。
でも、この「伊集院大介はまちがっていた。」というラストは強烈で、めちゃくちゃ覚えていました。
そして、このラストだけで、後世に残っていい名作だと、読んだときには思ったのでした。
あいかわらずミステリーに向いていないわたしの脳みそは、あれ、なんで薫くん、一条に襲われたんだっけ?とか、すでに、記憶障害を起こしていますが。

で、今回、ラストも知った上で読んで、ちょっとゾッとしたのは、日美子の予言って、けっこう当たっていますよねぇ。ものすごい悪意をいれこんでいたのね、栗本 薫。

怒りをこめてふりかえれ

「猫目石」後の栗本 薫。
これ、なんでかラストシーンだけしっていたのですが、こういう話だったのか。

薫くんの話すときの一人称が「おれ」になっていたり、けっこう気の弱い女の子に手を上げていたりして、ちょっと薫くんというキャラクターに、違和感が……。
まあ、薫くんも、年をとったということなんでしょうけどねぇ。

あと、けっこう中盤まで殺人事件もなにも起こらなくて、これはもしかして、推理小説じゃないのかもしれないと思ったりしました。ラストに伊集院大介が出てくるのはしっていたけど、まあ、友情出演的なものかなぁと思っていました。

えーと、途中、犯人側に女の影が見えるのですが、「あれ、女ってこの話に出て来たっけ?」と、みごと欺されました。というか、まったく、記憶に残っていなかったよ、その人状態でした。

これで、長編での栗本 薫の物語は、完結したかんじなのかなぁ。

公園通り探偵団

これ読んだことあると思っていたら、新潮社からでている「十二ヶ月」の1作ですね。
こういう、オーソドックスな短編を書かせると、栗本 薫は、絶品だと思います。
長編は、特にハードボイルドは、ラストがいまいちなのが多いからねぇ。

ぼくらの事情

ヤスとは出会ってるけど、信とは出会ってないよね?

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私たちは繁殖している10

息子さんは、マンガ家をめざすそうです。
まあ、親がマンガ家だからってなれるものではなく、これこそ実力だけの世界。まあ、応援して貰えるというのは、プラスになるのかなぁ。

最後は、竹宮 惠子学部長にあいさつ。
最近、萩尾 望都の「ポーの一族」の新作なんかを見て、竹宮 惠子の新作を読みたいなぁと。さすがに、この世代の人たちの新作って、けっこう見られなくなってきた気がします。
うーん、特に「風と木の詩」の2部とか、「変奏曲」の2部とかは、読みたい。増山 法恵の小説でもいいので。

と、全然、「繁殖」の感想ではないという……。

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金魚屋古書店13

図書館にマンガ、けっこう入ってるみたいですね。

マンガ、あってもいいけど、なくってもいいかなぁ……。
どのマンガを購入する買っていう線引きってけっこうできないと思うんですよねぇ。厳選するか、選ばずにドンドン入れるか。で、ドンドン入れると、どうしようもなくなってるのが目に見えてる。

厳選するとしたら、うーん、わたしの図書館には「夢の夢」は、入らないかなぁ。
「トーマの心臓」は、入る。でも、「ポーの一族」は、名作だけれど入らない気がします。
「空の色ににている」と「草迷宮・草空間」は、入るな。
白倉 由美は、なんか1冊入れたい。うーん、「贖いの聖者」かな。でも、これを入れると自分の基準がぶれている気もする。

「金魚屋古書店」のこの巻のお話の中で、「草迷宮・草空間」の本ばかりを集めている人の不思議な話があったけれど、そんな狂気と背中あわせなマンガなら、図書館にあってもいいかも……。

基準が自分でも良くわからないけれど。健全な基準でないのは、確かですな。

少年マンガは、入らないかも…。

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思い出を切りぬくとき

若き日の萩尾 望都のエッセイ。
1980年代のエッセイなので、「ポーの一族」や「トーマの心臓」などの初期の代表作を発表し終わって、「メッシュ」とか、「銀の三角」、バレエのシリーズなんかをかいている時期みたいです。
バレエの話なんかも、けっこうあります。

この人、ものすごい論理的なのに、ときどき、論理的すぎて迷宮に入り込んでいくような感覚があって、おもしろいです。
その人とのちょっとした違い、微妙な違いが、作品を生み出していく力になるのだと思いました。
ヘンな人だ(ほめ言葉です)。

今から30年ほど前にかかれたエッセイです。でも、古くはないです。