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友よ、また逢おう

片岡義男は、読み直したいと思っていたんです。中学校時代に、兄貴の本棚から読んでいた記憶があります。けっこう、憧れの世界でした。
ということで、多分、読み返しだと思うのだが、こんなんやったっけ?

初期の作品で、アメリカ舞台だからかな。なんか、もっとウェットな感じが印象として残っているのですが、メチャクチャ乾いていました。
渇きではくて、乾き。

描写が、人物描写も風景描写も、全部同じ強度でされていて、なにが言いたいのかわからなくなっているという。
わたしは、基本、共感とかで物語を読み取っていくのですが、ビリーがどんな人間なのかは、まったくつかめません。
いいやつなの?わるいやつなの?
というか、めっちゃ行き当たりばったりに生きているとしか思えないんですが。

ストーリー自体も、「起」があって、あと延々と「承」が続くような話です。
ラスト、ちょっと「転」かなと思ったら、いきなり終わるし。しかも、史実ではこの後、わりとすぐに死ぬんですよねぇ。しかも、ギャレットに?そこは、書かないんだ。

まあ、ハードボイルドといえばハードボイルド。でも、ハードボイルドのもとになったヘミングウェイだって、もうちょっと、ウェットな感じがあったと思います。

ちょっと、村上 春樹を読んだときと同じぐらい理解を拒否されている感じがあって、昔コレを読めていたのが、ビックリです。

うーん、バイクものとかも、実は男の子とか主人公はもしかしたら、こんな感じだったかも。
でも、女の子は魅力的だったかも。
「スローなブギにしてくれ」とかを読んだら、その印象が蘇るかな……。

てなことを思いながら、今回、アレクサに読んでもらってました。これも、「黄金の少女」と同じく、読み聞かせでなければ途中で読むのをあきらめていたかも。

まあでもわたしは、バイク乗りでもなく、サーファーでもなくて、片岡 義男の小説の主人公の人生とは(今回は西部のガンマンですが)、まったく関係ない人生を送っていますからねぇ。
そういうのに対する、「憧れ」そのものが、もしかして若い頃ほどなくなってしまっているので、魅力を感じなくなっているというのはあるかもしれない。

これは、いやけない。永遠に中二でありたい。

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三体

Kindleでセールをしていたので。あと、兄貴もおもしろかったといっていたので。話題の本ですよ。ちょっと、遅いかもしれませんが。
そして、Kindleということで、アレクサに読んでもらっています。

ということで、名前の雰囲気とかは台無し(笑)で、読んでいます。シツヨシとか、ヨウブンキヨシとか。今、Kindleのテキストを確認して、ヨウさんには、葉さんと、楊さんの2種類いることをしった。葉さんの娘が楊さんなのね。
葉さんと楊さんが結婚するとき、親戚同士みたいな話があって、同じヨウさんだと思っていました。
いいのよ。ストーリーはちゃんと追いかけられているから…多分。

物語の出だしは、1967年の中国。
SFとは思えないスタートです。わたしは、時代背景的なものもあると思うし、ちょうど最近読んだということもあって、けっこう平井 和正のウルフガイっぽいと思って読んでいました。なんか、その時代の空気みたいなのが、濃厚に流れている感じです。

VRゲームの部分と現実のパートが、どう繋がるのかと思っていたらものすごい力業でつながって、おもしろかったです。
リアルをコツコツつみあげる部分と突拍子もない部分のバランスがものすごくわるい気もするのだが、そこが、ものすごい魅力的ですねぇ。

史強が、特に後半の史強が、かっこいいですねぇ。ハードボイルド。
ラストシーンの史強も、物語のラストにふさわしい感じで好きです。

三体人の悪意あるメッセージには、震えました。

劉 慈欣,
大森 望,光吉 さくら,ワン・チャイ
早川書房
発売日 : 2019-07-04

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栗本薫・中島梓傑作電子全集3 ぼくらの時代

ぼくらの時代

まあ、わたしらよりも1世代上の人たちの青春である「ぼくらの時代」です。
多分、わたしらは、「ぼくらの時代」よりも、「グイン・サーガ」から栗本 薫に入ったのではないかと思います。もしかすると、「トワイライト・サーガ」からかもしれない。
おそらく、「ぼくらの時代」をはじめて読んだのは、中学生ぐらいのときかなぁ。

でも、一世代上といいつつ、小学生時代から従姉の影響もあり、少女マンガなんかをよく読んでいたわたしとしては、良くわかる話だなぁというか、同世代の空気や雰囲気は、感じていたような気がします。
まあ、ねぇさんのと気があったり、話があったりするのは、この辺の教養のおかげです。

多分、これ小説読む前に、雑誌にのったマンガを読んでいるんですよ。そこで、

「笑ったね、悪党ども」

という名セリフも読んでいたし、トリックもしっていました。

いや、本当にそんなマンガがあったかどうかは、確かめようがないのですが、たしかに、このテンポや会話、知ってると感じながら読んでました。

なんだろう。なかにめちゃくちゃウェットなものを含んでいるくせに、やっていることはものすごくドライというこの感じは、まさに時代だよねぇとしかいえないです。
その頃のわたしの行っていた中学は荒れていて、そういう雰囲気ともフィットしていました。

その時の「空気」が、わからない人にとっては、全然、理解できないのではないかと思いつつ、その時の「空気」をものすごく正確に切り取っているという意味では、やっぱり、名作なんだと思います。

文体は、かなり計算されていてあざといと思います。まあ、そこを含めての空気かな。

ぼくらの気持ち

少女マンガ家たちの世界が舞台という以外は、案外覚えていないものです。

まあ、覚えていたのは、ヤスが就職した。ダーティペアが出てきた。みたいなことだけ。
薫くんの恋とか、どんな推理があったかとかは、さっぱりです。

ああでも、名探偵の謎解きのない推理小説なんてつまらないというのは、覚えていた。というか、ここで読んだのか。どっかで聞いたセリフだと思ったけれど、この本だとは思わなかった。

時代は、やおい華やかりし頃。で、けっこう、その世界の大御所の割には、辛辣です。
まあ、「ぼくら」シリーズは、他人から受け入れられるために書かれている小説なので、まあ、そういう書き方になるかというのもわからないでもない。多分、前回読んだときには、そんな辛辣さは、わたし自身もそんなに気にはならなかったので、時代がかわったというのもあるかもしれない。

でもなぁ、自らのバンドに「ポーの一族」ってつけている薫くんが、そこまで、やおいを嫌うかというのは、ちょっとあります。まあ、そういうポーズをしていないと、何をいわれるのかわかったもんじゃない時代でもあったんだと思うけれど。
そして、薫くんが、その時代を映す鏡としてのキャラクターだとしたら、そういう反応しかありえないのだともおもうのだけれども……。ちょっと、もやっとする感じではあります。

「猫目石」で、薫くんが恋する話を覚えていて、あぁ、でもこのキャラクターの女の子の好みというのは、ものすごく一貫しているんだなぁと、それは、今回あらためて読んで見て、ものすごく思いました。

ぼくらの世界

ぼくらシリーズって、3人組が一人一人離れていく話なんだなぁと。
「ぼくらの気持ち」ヤスが離れて。「ぼくらの世界」では、ほぼ薫くん1人の物語と言ってもいいと思います。

そういう変化と、感じなくてもいいぐらいの自分を持っているはずなのに、時代の空気というを感じずにはいられない作者の栗本 薫との葛藤があるみたいで、あとがきがちょっと切なくて楽しかったです。

シャーロック・ホームズ賞を巡る事件ですが、甲野乙骨が、格好いいよねぇ。
あと、ダーティペアのケイちゃんは、結婚したんだとビックリした。

猫目石

栗本 薫VS伊集院 大介。
といっても、そんなに戦っている訳ではなくて、はじめっから大介は薫くんのサポートにまわっている感じです。

これも、読んだことあるはずなんですが、ラスト以外はまったく覚えていませんでしたねぇ。
でも、この「伊集院大介はまちがっていた。」というラストは強烈で、めちゃくちゃ覚えていました。
そして、このラストだけで、後世に残っていい名作だと、読んだときには思ったのでした。
あいかわらずミステリーに向いていないわたしの脳みそは、あれ、なんで薫くん、一条に襲われたんだっけ?とか、すでに、記憶障害を起こしていますが。

で、今回、ラストも知った上で読んで、ちょっとゾッとしたのは、日美子の予言って、けっこう当たっていますよねぇ。ものすごい悪意をいれこんでいたのね、栗本 薫。

怒りをこめてふりかえれ

「猫目石」後の栗本 薫。
これ、なんでかラストシーンだけしっていたのですが、こういう話だったのか。

薫くんの話すときの一人称が「おれ」になっていたり、けっこう気の弱い女の子に手を上げていたりして、ちょっと薫くんというキャラクターに、違和感が……。
まあ、薫くんも、年をとったということなんでしょうけどねぇ。

あと、けっこう中盤まで殺人事件もなにも起こらなくて、これはもしかして、推理小説じゃないのかもしれないと思ったりしました。ラストに伊集院大介が出てくるのはしっていたけど、まあ、友情出演的なものかなぁと思っていました。

えーと、途中、犯人側に女の影が見えるのですが、「あれ、女ってこの話に出て来たっけ?」と、みごと欺されました。というか、まったく、記憶に残っていなかったよ、その人状態でした。

これで、長編での栗本 薫の物語は、完結したかんじなのかなぁ。

公園通り探偵団

これ読んだことあると思っていたら、新潮社からでている「十二ヶ月」の1作ですね。
こういう、オーソドックスな短編を書かせると、栗本 薫は、絶品だと思います。
長編は、特にハードボイルドは、ラストがいまいちなのが多いからねぇ。

ぼくらの事情

ヤスとは出会ってるけど、信とは出会ってないよね?

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チャールズ・ウォードの系譜 クトゥルー・ミュトス・ファイルズ6

短編集。今回のテーマは、魔術。

オマージュ元である「チャールズ・ウォードの事件」自体、それほどクトゥルー神話らしさがあるわけではないので、それぞれの物語も、ものすごくクトゥルー神話っぽい感じはしないかも。まあ、匂わす遊びがクトゥルー神話的だとすると、クトゥルー神話っぽいか?

魔術師は、ちょっとしたヒーロー的な側面もあって、それぞれ、おもしろかったです。

「ダッチ・シュルツの奇妙な事件」は、朝松 健らしい、歴史と絡んだお話です。ちょっと、ハードボイルドで格好いい。

「青の血脈」は、今回の3つの物語のうちで、1番好みです。基本やっぱり、自分がホラーよりも、ヒーローものが好きなんだなぁとよくわかります。

「妖術の螺旋」は、1番ホラーっぽい感じて漉かねぇ。まあそれでも、ラストにヒーローでてきて、ちょっと笑ってしまった。まあ、好きですけどねぇ。日本的だなぁ。

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結晶銀河 年刊日本SF傑作選

前巻から、3年以上かかってしまいました。
ほぼ10年前。10年前なんて、ついこの間のことのようです。なんか、一種SF的な時間の流れの中を生きている気がします。

伴名 練「ゼロ年代の臨界点」とか、山本 弘「アリスへの決別」とか、わかりやすいのが好きです。月村 了衛「機龍警察 火宅」とかもハードボイルドで悪くない。

でも、酉島 伝法「皆勤の徒」とかは、意味も、なにがおもしろいかもさっぱりわからないのでした。いやぁ、これ、苦しかった。

大森 望,日下 三蔵,
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東京創元社
発売日 : 2011-07-27