パン焼き魔法のモーナ、街を救う
「パン焼き魔法」ですから、なんか、もっとアットホームというかドメスティックな物語展開を期待していたのですが、しょっぱなから、ぶっ飛ばすジェットコースターみたいなお話でした。
いや、おもしろかったけれど。
しかし、この世界の魔法使い、けっこう危険じゃないかい。
そういう現実の苦みみたいなものも、ちゃんと効いている良いファンタジーでした。
短篇集といいながら、完全に長編のウィッチャーに続いている話があり、やっぱりこっちを読んでから長編を読みたかったなぁと。
出版年を見てみると、短篇集1よりも、こっちの方が本国では先に出版されているみたいで、そこも、ちょっと謎というか混乱するところですが、こっちの方が、直接的に長編に繋がっている感じがします。
短編集1にあった、短編同士をつなぐようなしくみはなくて、つくり自体もあとの長編に近い気がします。
まあ、雰囲気は、まだほのぼのしている話も多くて良かったです。
おもしろかったのは、「運命の剣」ですねぇ。ほぼ、本編といってもいい。シリとシントラ関係が出てくると、お話が引き締まる感じです。
あと、短編としては、「小さな犠牲」が、とても格好良かった。ラストまで、中二感満載です。
長編の「ウィッチャー」の前日譚にあたります。
前日譚というか、実はこっちが先に書かれていて、こっちを先に読まないと訳わかんないところは多いです。ということで、このシリーズのハヤカワ文庫の出版の順番は、あんまりにも不親切です。
今から読む人は、短編集から長編の「ウィッチャー」という順番で読み進めるのが、オススメです。
こうやって順番に読むと、短編の中に伏線がいっぱいあるのがわかる。
そして、短編だからこその軽やかさとか面白さも感じられます。
まあ、長編として出ている「ウィッチャー」の方も、途中、なんか中短編みたいになっている部分もあって、そこは、この短編の雰囲気と同じなのですが。
ダークで、濃厚な部分だけではなくて、こういう部分も、ものシリーズの魅力になっているなぁと思います。
まあ、実写ドラマ版の方は、この軽い雰囲気とダークな雰囲気が、上手く混ざり合っていなくて、「どっちのつもりで見ればいいの?」というところで、戸惑いがあったのですが、この理由は、原作がそうなっているからなんだなぁと良くわかります。
ゲーム版の「ウィッチャー3」も、ちょっと遊んでいます。まあ、めっちゃハマることはないけれど、雰囲気はとても良く出ているいいゲームです。
竜王、グラチウスあたりも、便利すぎて動かしにくいキャラなのだが、主人公のグインも、けっこう、万能で困るキャラですよねぇ。
まあ、この人が出てると安定しているちゃあそうなのですが、なんというか、ドキドキ感は少なくなる感じがします。
いよいよ、グインとナリスが出会って、対立していく感じですが、わたしが当初に読みたかったグイン・サーガは、割とこっちの方だったなぁと思いながら読んでいます。
コテンパンにやっつけて欲しいです。
まあ、歩けなくなった後ぐらいから、ヴァレリウスと絡むようになったナリスは、そんなに嫌いじゃないんですけどね。
↑ もしかして、多数派とは反対の反応かな。