マンガでわかる元素118 元素の発見者から意外な歴史、最先端の応用テクノロジーまで
たしか、読むきっかけは、アニメ版の「宝石の国」だったような記憶が。
あんまりというか、全然、関係なかったですが……。
なんというか科学者に変人が多くて、ちょっと楽しい。こういう科学史の楽しみというのも、けっこう大事だと思います。
いままで「美夕」と「夕維」で、「西洋神魔編」とか、いろいろなパートに分けて進めてきた物語を、全部ごった煮にして、上手に配置し直した感じです。
かきたい素材自体はもう練り込まれて存在している安定感があります。
その分、読者としては、意外なところは少なくなっているのかな~。
やっぱり、気持ちよく終わります。
物語というのは、こうでなくちゃね。
いろいろあったけど、世界の天辺で幸せな恋人たち。まあ、いろいろが多すぎて長すぎなんだけど…いや、本が長いというのではなく、物語の中の時間経過も含めてですが。
前作の「大聖堂」のときは、キャラクター1人1人が、わりと1つのものを体現していて、その対立構造というか、お話の作り方も単純な感じがしたのですが、今回は、ものすごく混沌としていて、その分、深みが増していておもしろかったです。
みんな、魅力的です。
これ読むと、またゲームを遊びたくなりますね。
ものすごく面白いのですが、ネタバレ全開の背表紙のあらすじには、少しがっかりさせられます。
これなければ、さらに面白いのに。
これでもか~これでもか~と、トラブルが押し寄せてきます。ままならないことばかりです。
昔だったら、ここまでしなくてもいいのに感じていたかも。
でも、これがあるからこそ、突き抜けたときの気持ちよさも大きいです。
対立しているように見える2つのものは、実は同じものの別の面であるという紫堂 恭子のテーマが、この物語でも、かなり明確になってきました。
ひとつのこだわりのテーマがあるということは、同じことを何度も繰り返しているように見えるのですが、それだけ繰り返すに足るテーマだということなのでしょう。そういうテーマに出会えた作者は、多分、ラッキーだと思います。
繰り返しに見えて、1回では語り尽くせない別の面をそれぞれのお話で見せてくれています。