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ふたりのアーサー3 王の誕生

なんと、ビックリしたことに2巻のレビューを、2003年の8月に書いていますから、2年ぐらい間があいていることになります。

けっこう、印象の強いお話なので、そんなに時間がたったとは思えなかったです。
読むと、すっと、その世界に入っていける感じです。

世界は、正しいことばかりではないけれど、美しいことも確かにある。
憎んですらいた父親と、和解したり、共感するきっかけすら、もてるかもしれない。
もちろん、それは、簡単に手に入る甘いものではないけれど……。

それは、人の心と同じような世界なのだと思います。
そして、自分自身のなかに、王を見つける。

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どろぼうの神さま

「ハリー・ポッター」よりも、「ドラゴンランス」の方がおもしろいと思って、子どもにすすめているわたしですが、「ドラゴンランス」は、児童文学かというと、微妙だなぁと思っています。

今まで、これは最高だと思った児童文学は、「ふたりのアーサー」のシリーズだったのですが、この「どろぼうの神さま」も、それとおんなじぐらい楽しかったです。

この本に書かれていることは、ファンタジーも含めて全部、本当のことのように思えてくるんですねぇ。
それは、言葉のはしばしのさりげない繊細さからくるのかもしれません。
すごく気に入った、使ってみたいと思うフレーズが、いくつも、いくつも出てきます。でも、それらが、ガンガン自己主張をしているわけではないんですねぇ。
そのせいで、不思議な現実味があるのかもしれません。

それから、悪役とよばれる人物でさえ、すごく注意深く書かれています。

わたしは、最後の最後のまで、まさか全員があんな結論に達するとは思っていませんでした。

特に、「どろぼうの神さま」たち。

最後のページで、やられた。と思いました。

人それぞれに、価値観が違って、幸せも違う。
それは、口で言うのは簡単だし、これまでも、いろいろ物語などでも語られ続けてきました。

でも、こんなかたちで、本当に示してみせるというのは、しごくわたしにとっては、ショックでした。

「竜の騎士」も、買いに行こう。

コルネーリア・フンケ,Cornelia Funke
細井 直子
WAVE出版
発売日:2002-04
 

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ふたりのアーサー2 運命の十字

1番最初に読んだ本格的なアーサー王と円卓の騎士の物語は、マリオン・ジマー・ブラットリーの「アヴァロンの霧」の4部作でした。

それで、けっこうイメージが形作られているので、わたしのアーサー王と円卓の騎士のイメージは、ちょっとゆがんでいます。

その後、マロリーの「アーサー王の死」や、ホワイトの「永遠の王」などをよんだのですが、ちょっと違和感を感じていました。

でも、今年になってからよんだ、サトクリフのアーサー王三部作や、この「ふたりのアーサー」は、あんまり違和感がないです。

「アヴァロンの霧」で強烈に植えつけられたアーサー王の世界観は、多分、キリスト教的な世界とケルト的な魔法の世界の混沌とした混ざり合いだったのだと思います。
そして、そのテーマは、「ふたりのアーサー」のなかでも書かれていて、それが懐かしい感じを抱かせているのでしょう。

現実の十字軍に参加しようとしている少年アーサーと予言の石のなかのアーサー王の物語。
主人公の少年自身が自覚的なように、いろいろなはざまのなかに、世界はできています。
隠された真実。正しいことへの憧れと自分の弱さ。まぶしい女の子達。自らの未来と責務。

次巻で完結ということで、続きが楽しみな物語です。