どろぼうの神さま
「ハリー・ポッター」よりも、「ドラゴンランス」の方がおもしろいと思って、子どもにすすめているわたしですが、「ドラゴンランス」は、児童文学かというと、微妙だなぁと思っています。
今まで、これは最高だと思った児童文学は、「ふたりのアーサー」のシリーズだったのですが、この「どろぼうの神さま」も、それとおんなじぐらい楽しかったです。
この本に書かれていることは、ファンタジーも含めて全部、本当のことのように思えてくるんですねぇ。
それは、言葉のはしばしのさりげない繊細さからくるのかもしれません。
すごく気に入った、使ってみたいと思うフレーズが、いくつも、いくつも出てきます。でも、それらが、ガンガン自己主張をしているわけではないんですねぇ。
そのせいで、不思議な現実味があるのかもしれません。
それから、悪役とよばれる人物でさえ、すごく注意深く書かれています。
わたしは、最後の最後のまで、まさか全員があんな結論に達するとは思っていませんでした。
特に、「どろぼうの神さま」たち。
最後のページで、やられた。と思いました。
人それぞれに、価値観が違って、幸せも違う。
それは、口で言うのは簡単だし、これまでも、いろいろ物語などでも語られ続けてきました。
でも、こんなかたちで、本当に示してみせるというのは、しごくわたしにとっては、ショックでした。
「竜の騎士」も、買いに行こう。
コルネーリア・フンケ,Cornelia Funke
細井 直子
WAVE出版
発売日:2002-04