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しっぽでごめんね

白倉 由美は、マンガ家の時代から大好きな作家です。

最近、今まで聞いていなかったリーディングストーリーを聞く機会があって、それを聞いたとたんに読みたくなってこの本を本棚から出してきて一気読みしました。

まあ、実は作者は、性格悪いとかいろいろありますが、なんというか、そんなのこととは関係なく、この人がかく物語とか、言葉とかがものすごく好きなのです。

というか、好きなんだなぁというのを再確認しました。

しっぽのある女の子の話ということで初期の名作マンガ「彼女の海岸線」の再話なのかと思っていましたが、そうではなかったです。
でも、孤独な心に少女が住み着くというストーリーは、よく似ています。そして、「彼女の海岸線」をかいていたときよりも、テーマは、1歩進んでいます。
もう1歩、現実の側に歩いていこうとしている気がする。

宿無しミューズのお話(?)を昔どこかで聞いたことがあります。
それは、いろいろ芸術家の卵の家を渡り歩いているフーテン少女で、彼女に出会った芸術家はなぜか大成するというお話でした。

「しっぽでごめんね」は、そのミューズを手に入れた芸術家の話であり、ミューズだった少女が、生身の人間に戻る話でもあります。

この生身に戻るというのが、僕らが生きていく上で、結構、大事なことで、白倉 由美や、大塚 英志が、一生懸命にやっていることなのかなぁと思います。

夢が醒めても、その子の居場所でありたい。
そう思える強さを手に入れたい。