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西の善き魔女3 薔薇の名前

守りたいと思っている相手と守りたいと思っている故に離れていく。
そういうお話です。

フィリエルは、気持ちいい荻原ヒロインの典型ですねぇ。

同じ童話が残っているということは、この世界は、わたしたちの住んでいる世界と地続きの世界なんだろうか?未来?
この世界が、どうやってできたのか?竜?
大きな物語と、フィリエルとルーンの行く末という小さな物語と、どちらも楽しいです。

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西の善き魔女2 秘密の花園

どこかで見たようなシーンがはさまれるのは、題名と同じく、わざとです。
好きなものをなんでも放り込んだかのように見える物語ですが、すごく計算されて組み立てられた部分も多いです。
そして、いろいろな物語の断片のようでありながら、しっかりと「西の善き魔女」という全然別の新しい物語でもあります。

多分、同じような物語を読んで育ってきたから、たまらない部分があるんだろうなぁと思います。
子どもの部分と大人の部分が、うまく、同居していて、それがくすぐられている感じがします。

まあ、そういう理屈を抜きにして、「第二章 暗躍する花々」という題名を見ただけで、素敵で爆笑してしまうのですが。花々、暗躍するなよ!!いやでも、本当に、そういう話なんですけどね。

「そこの、色魔みたいな人!」

も、素晴らしい。もう、忘れられん。

物語全体が、舞台劇のような感じです。宝塚とかでも、似合いそうです。

しかし、小学校の図書館にこの本がさりげなくあるわけですよ。一部、良い反応をする子どもは、きっと、すごい教育をされるな(笑)
でも、そういう意味でも、いい本だと思います。

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西の善き魔女1 セラフィールドの少女

今までは、「勾玉」のシリーズしか読んだことのなかった荻原 規子の西洋ものファンタジーです。
荻原 規子のデビュー作が、「空色勾玉」なのですが、この話は、ファンタージー読みにとってはそれより懐かしい感じがすると思います。きっと、荻原 規子自身が、小説家ではなくてファンタジー読みだったときに、夢想したお話が、この「西の善き魔女」だったのではないかと思ったりします。

すごい、映像が目に見えてくるようなお話で、楽しいです。あまりにも、はまりすぎて、笑ってしまうところもあるんですけどね。
例えば、フィリエルと伯爵がはじめて対峙するシーンなんか。たしかに、えらい人って、なんか後向いてて、クルッと振り返るよなぁ(笑)

ただ、単純に、西洋風の異世界のファンタジーというわけではなくて、いろいろな秘密や、謎を、世界自体がもっているようで、これはなかなか、先が楽しみなお話です。

展開が、思わせぶりじゃなくて、どんどん進んでいくのも、なかなかジェットコースターな快感です。博士の恋愛なんて、もっと引っ張ってから正体あかすのかと思っていたら、めっちゃくちゃあっさりわかってしまって、ビックリしました。

女の子は、荻原 規子の主人公だなぁという感じです(笑)でも、そこもいいと思います。

文庫本には、カバー以外にイラストはないのですが、後の単行本の宣伝の佐竹 美保イラストのフィリエルとルーンは、いい感じです。

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風神秘抄

最近、1番お気に入りの作家・荻原規子です。
といっても、「勾玉シリーズ」しか、読んだことないのですが。それだけで、魅了されてしまいました。
最近は、「もうひとつの空の飛び方」1なんてのも、楽しんでます。

今、文庫で「西の良き魔女」も出ていて購入していますので、読むのが楽しみです。
こっちも、オススメした人が、2日ぐらいで読んじゃったので、きっとはまると思います。

最初の「空色勾玉」から、かなりうまかったのですが、これは、勾玉3部作を書いてからかなり時間をあけてから書いているからか、さらに磨きがかかっています。

「空色勾玉」とか、「白鳥異聞」のときは、基本的に女の子視点がうまい人なんだなぁと思っていました。
でも、「薄紅天女」で、男の子も、すごくしっかりと書けることがわかりました。

そして、本作。これは、すごいです。

基本的には、男の子から見た女の子なのですが…。

男の子から見た、あこがれの女の子(謎な女の子といってもいいかも)というのを書けてる物語って、けっこうあります。
それから、女の子から見た、あこがれの女の子の書けている物語っていうのも、けっこうあります。
そして、もちろん、男の子から見た等身大の男の子の物語、女の子から見た等身大の女の子の物語というのも、あります。

でも、この「風神秘抄」は、そういうのみんなかいた上で、「あこがれの女の子」も「等身大の女の子」も、「あこがれの男の子」も「等身大の男の子」も、実は同じものだよと、かききってしまって、それを登場人物にも、読者にも気づかせてしまう(しかも、あこがれの部分をちゃんと残したまま)。
ものすごい物語です。
そして、とてもストレートな恋愛小説です。

もちろん、草十郎も、糸世も、普通の人間ではなくて、選ばれた人間なんですが、それを感じささないものがあるんですねぇ。

そして、この2人だけだったら、とっても閉じた物語になってしまったと思うのです。そこにでてくる鳥彦王。
彼が、この物語の真の主人公であるかもしれません。
鳥彦王と草十郎の掛け合いは、最初の瞬間から、めちゃくちゃおもしろい。
草十郎と糸世の物語であるのですが、草十郎と鳥彦王の成長の物語でもあると思います。

「糸世が行っていた世界」についての言及は、ちょっといらなかったかも。と思ったりもしますし、勾玉シリーズにあった神様の力みたいなおおらかさは少なくなってしまったのですが。
それでも、今までのお話になかったいろいろなものをもっていると思います。

なんとも、すごい話を書いたものです。

  1. なくなりました。 []

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薄紅天女

勾玉三部作の第3部です。

三部作の正しいあり方として、一部で始まって、二部で広がって、三部で落ち着いていきます。

だから、人にオススメするとしたら、広がっていく「白鳥異伝」の方です。
で、好きなのは、落ち着いていく第三部の「薄紅天女」ですねぇ。

むかし、「ウィラン・サーガ」というオーストラリアを舞台にしたファンタジーがあって、これも、三部作で、二部がメチャクチャおもしろくって、でも、好きなのは三部なのでした。

どっちかといういと性格的に、広がっていくものよりも、収まっていく方に、惹かれるからなのかもしれません。
もちろん、きちんと広がっていないと、収まりも悪くなってしまうわけですが……。

今回は、ものすごく落ち着いた物語という印象が強いです。
けっこう、旅もしてるし、勾玉の力もあるのですが、今までのスサノオの時代や、ヤマトタケルの時代に比べると、不思議な力のウエイトが落ちてきています。

ひとつは、神々の時代が終わって、人の時代の物語になったのだなぁということ。
だから、輝の一族の力も、闇の一族の力も、かなり薄められています。
これは、時代とともに、どんどん弱くなっていく印象がありますね。

それからもうひとつは、主人公が男の子だということ。
今までは、闇の一族の女の子と輝の一族の女の子のお話で、女の子が主人公でした。
でも、今回は、いつもと立場が逆転して、闇の末裔の男の子と輝の末裔の女の子の話です。
女の子は、ぐっと背景に下がった感じで語られています。(まあ、苑上はそれなりに活躍してはいますが…)
そして、この作者の場合、どうしても、活発な女の子と、無口な男の子という感じになるので、男の子主人公だと、ちょっと、話が落ち着いたものになるのかも(笑)

でも地味だからおもしろくないかというと、決してそんなことはなく、ドキドキは、けっこう最後まで続いて、最後の方は、

「もう、終わるのと…」

とページをめくるのがもったいなくなってしまう種類の物語であることは確かです。

なんと、最近、「風神秘抄」という最新作が出たそうです。
勾玉は出てこないけど、その歴史の中にある物語であるようです。
時は、平安の末期。より、人間たちの物語になっているんだと思います。

これから読みます。楽しみです。

ちょっと、最近、荻原規子は、有名みたいですねぇ。

実家に帰ったら、兄貴もはまっていて、ビックリ。