弧笛のかなた
世の中には、まだまだ、面白い話書く人が、いっぱいだ~。と、思い知らされた1冊。
「守り人」シリーズが文庫になったので読み始めよう1ということで、その助走のつもりで読んだ「狐笛のかなた」なのですが、思わずはまってしまいました。
今、日本の女性作家の児童文学を何冊か読んでいます。
「西の善き魔女」「勾玉シリーズ」の荻塚 規子、「パッテリー」のあさの あつこ、「西の魔女が死んだ」の梨木 香歩。
で、荻塚 規子とあさの あつこは、子どもが読んでもちゃんと面白い児童文学をしていると思います。
でも、実は、梨木 香歩や、この上橋 菜穂子は、児童文学といいながら、子どもが読む本だとは、とても思えないのです。
それは、決して、4人を比べて、どっちが優れているとかそういう問題ではなくて、
「この切り込み方は、ある程度人生経験がないとわからないだろう」
と思わせるものが、梨木 香歩や、上橋 菜穂子にあるのです。2
「弧笛のかなた」は、ストーリーだけ追っていくと、メチャクチャ悲惨で暗い話のはずです。でも、不思議とそれは感じない。もちろん、脳天気なのではなくて、物語の1番奥のところに悲しみは流れているのですが、それでも、淡々としたそれぞれの生をかいています。
これは、上橋 菜穂子の圧倒的な文章のうまさがあって、なりたっているのだと思います。
楽しいシリーズが、これからも待っていると思うと、ちょっと幸せなりんでした。