結晶銀河 年刊日本SF傑作選
前巻から、3年以上かかってしまいました。
ほぼ10年前。10年前なんて、ついこの間のことのようです。なんか、一種SF的な時間の流れの中を生きている気がします。
伴名 練「ゼロ年代の臨界点」とか、山本 弘「アリスへの決別」とか、わかりやすいのが好きです。月村 了衛「機龍警察 火宅」とかもハードボイルドで悪くない。
でも、西島 伝法「皆勤の徒」とかは、意味も、なにがおもしろいかもさっぱりわからないのでした。いやぁ、これ、苦しかった。
ちょうどわたしが、SFを読み始めた頃に出てきたレーベルです。
SFといえば、ハードなのが早川書房と東京創元社で、アニメのノベライズ的な1っぽいのが、朝日ソノラマ。そして、角川書店とか新潮社に、日本のSF作家みたいな印象。そして、新潮は文学寄りで、角川はキャラクター寄りみたいな印象が残っています。正しいかな?まあ、今の記憶です。
で、わたしは、本の楽しさというのは、星 新一から知って、そっから、眉村 卓、平井 和正と日本の作家に広がって、ライトな方とハードな方の両方に行きました。そんなときに出てきたのが、サンリオSF文庫でした。
印象はねぇ、当時のわたしとしては、表紙があり得ないと思っていました。怖かった。特に、「ヴァリス」の表紙が印象に残っているのですが、見てはいけないものを見ている感じが強かったです。そんな中に、なぜか、竹宮 惠子とかマンガ家の表紙がある。
そして、値段が高い。なんか、けっこう薄い本でも、平気で700円とか800円とか、1000円超えとかしていた記憶が。
当時、高い文庫本でも、500円ぐらいでなんとかなったのに、サンリオだけは高かった。
ものすごく誤解していたのは、サンリオSF文庫って、弱小だと思っていたことでした。だから、けっこあうあっという間になくなっちゃったし、値段も高いのだと思っていました。
まさか、大資本で、めちゃくちゃな金額で翻訳権を買いまくっていたというのは、この本を知るまで知りませんでした。
この紹介を読むと、サンリオ亡き後も、けっこう、いい本は、後から他の出版社から出てますね。
アンナ・カヴァンの「氷」とかも最近出たし、フィリップ・K・ディックなんかもほとんど出てるのじゃないかな。ヴォンダ・マッキンタイアは、けっこう早くに出てた記憶があります。
よい本は、なんどでも蘇る。
でも、この1回目の翻訳がなかったら、その復活もなかったかもしれない。そういう文庫レーベルだったのだと思います。
解説だけ先に本になっていた「日本SF全集」がとうとう、発刊!!
本当ならやっぱり、1人1冊の全集が読みたかったところですが、それだとお値段的にも、場所的にも、購入すら怪しくなるので、これでいいのかな。
やっぱり、星 新一、平井 和正、光瀬 龍、半村 良、眉村 卓あたりは、文句なしに面白い。というか性に合います。
まあ、この辺の小説が、今の私の好みを作ったので、当たり前といえば当たり前なのですが。
この本を読まなければ、読めなかったいろんな人の物語が読める。全集とかの良さは、そういう思わぬ出会いにあります。
今回は、今日泊 亜蘭の作品が、そんな感じで出会えて良かったです。
本当はない「日本SF全集」の解説を集めた本。
これは、楽しかった。日本SF史にも、なっている1冊です。
おもしろいわ、コレ。
でも、こうやって見ると、わたしは自分がSF者だと思っているけど、実はたいしたことないのが良くわかりますね。だいたい年代別に3期に分けて解説してありますが、どの時期にも、何人かは、「誰それ?」という人がいます。
比較的、第1期の人は、みんな知ってるし、何編かは読んでいる人が多いです。
星 新一、眉村 卓、平井 和正は、特に好きで追いかけていました。他の人も、けっこう代表作を外していることがか今回わかりましたが、まあ、読んでます。
今日泊 亜蘭と広瀬 正は、名前しかしらないけれど。
広瀬 正は、SFの人だったとは知らなかったです。
第2期の人は、名前はしっているけど、ほとんど読んだことがない人ばかりでかさす。
山田 正紀と川又 千秋ぐらいですねぇ。でも、この人たちも2、3作品を読んだぐらいです。
山尾 悠子、鈴木 いづみ、石川 英輔あたりは、全く知らない。
第3期が、新井 素子から始まるのは、とっても正しいなあと思いました。
新井 素子、夢枕 獏、高千穂 遙、栗本 薫、田中 芳樹、笠井 潔、野阿 梓、菊地 秀行、大原まり子あたりは、今は追いかけきれていない人もいるけれど、大好きです。
でも、式 貴士って、誰よ~。
あと、この本の作者の日下 三蔵っていう人も、しらいな(笑)
でも、グッジョブ!!
でも、世の中には、知ってる人でも、知らない人でも、おもしろそうな小説はいっぱいあるっていうことですね。
そして、こういう全集を読むと、そういう意外な発見があったりして楽しいです。
ぜひ、この全集出して欲しいです。
でも、1600ページか~。文庫で出ることはないなぁ。
久方ぶりの平井 和正です。
本当は、本で読みたいのですが、ここのところ平井 和正は、e文庫中心の動きになっているので、アドエスにソフトを入れて、e文庫で読んでいます。
ただ、最近というか、ここ数年は、e文庫の動きも、けっこう怪しい……。大丈夫だろうか?
平井 和正は、中学校ぐらいのときに「幻魔大戦」を読み始めたのが出会いです。
それまで、SFは、星 新一と眉村 卓ぐらいしかしらなかったので、このスーパーヒーローものというのは、けっこう衝撃的でした。
マンガは好きだったし、すごく自分のその頃の嗜好にあっていて、しかも、その頃の平井 和正は、ノリにノっていて、大好きでした。
まあ、幻魔大戦が中断したあたりから、ちょっと怪しくなってきて……幻魔大戦の次に書いたのが、この「地球樹の女神」だったのかな?この本は、改ざん事件とかがあって、文庫にならなかったので、結局、今の今まで読んでいなかったのでした。
というか、角川版、アスペクト版、最終版以外のe文庫版と、ことごとく途中で出版が止まっています。お話をすべて続けて読めるのは、徳間書店版のハードカバー(多分、今は絶版かな……徳間書店ともケンカしたいう話を聞いた気が…)と、このe文庫の「最終版」だけだと思います。
さて、内容ですが……なんだか、ものすごく子どもっぽいです(爆)
いや、もともと平井 和正の作品って、特にシリーズものはヒーローものなので、子どもっぽい傾向はあるとは思うのですが、でも、平井 和正って、同時に、ものすごい独特の「重さ」をもった作家だと思うのですよ。
でも、その「重さ」が、ほとんどないのです。少なくとも、この1巻を読んだ時点では。
1番最近読んだ平井 和正は、「月光魔術團」の第1部です。これも、2部以降は、文庫化されなかった……。わたしは、ウルフガイの完結編である「犬神明」を読んでないのですね。
だから、動いていくアクション自体はおもしろいと思うのですが、状況がつかみきれなくて、とまどった思い出があります。
その前には、「ボヘミアンガラス・ストリート」を読んでいて、これは、9巻ぐらいで完結しているとってもまとまったお話です。
これは、平井 和正ぐらいの年の人が、ここまで瑞々しい小説がかけるのかと、感動した思いがあります。
えーと、「地球樹の女神」は、瑞々しさよりも、平井 和正の欲望と偏見が、あんまりにもストレートにですぎている感じです。
そして、やっぱりというかなんというか、平井 和正って、人をトンデモの方向に誘導しているきらいはあるよなぁ……。
さて、この先、この物語が、「重さ」を伴っていくのかどうか……そのあたりを楽しみに、読んでいきたいと思います。