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愛でなく6 パーム15

「みんな『愛』と言って、まるで1つのもののようにいうけれど、それぞれに形が全部違う」だから、「それは、自分自身で考えて行動しなければいけない。」

アイリーンとシドのやりとりが、とっても、好きなんですよ。
はじめて、自分の弱みを人に見せるアイリーン。彼女に、ジェームズとの別れを完全に決心したシドが話すというのが、言葉以上に、「それぞれ違う」ということを強調しています。

しかし、ケリーは、アイリーンのどこがよかったんでしょう?
それは、アイリーンでなくても、そう思う。
でも、「どこがよかった。」、「どこそこがよい。」というそういうことではなく、全部うけいれたからこそ、アイリーン自身も、ケリーが彼女のことを思っているということを感じたのだと思います。

そして、シドが行ってしまうことを決心してはじめて、

「とても愛してる」

というジェームズ。

なんか、いろいろな話が一気に終わりに向かって動いていくこの感じは、すごい気持ちのいいものです。

文庫版「愛でなく」は、これで完結。

アンジェラとノーマンの恋愛がかかれなかったのが、心残りです。

しかし、王様のジェームズへの申し出は、ビックリしました。
良く読めば、この結末は、「愛でなく」がはじまった時点から、また、王様に出会ったときから、あんなに明確にしっかりと物語で語られていたし。推理できるはずなのに。
なんか、虚をつかれた感じがしました。それと同時に、その場所こそ、彼がいるべき場所だという気も。

彼自身にとまどいがあるのは、自分の寿命が長くないことをしっているからでしょうか?
でも、だからこそ、急がなければならないとも思ったり。

目を離せない展開です。
すぐに、コミック版の続きを読もう(笑)

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愛でなく5 パーム14

たった1つの問題が解決したように見えたとしても、世界がよい方にかわっていくわけではない。
解決したと浮かれて他の問題を忘れてしまうこと、好転したと先送りにしてしまうことは、とても危険です。

でも、なにかをなしとげれば、はしゃぎたくなるのも、人間です。

「愛でなく」は、恋愛編ということで、ジェームズとシドの恋愛を中心に、ビアトリス、フロイド、ジョゼ、カーターとジャネット、アンディとオクヨルン、アイリーンとケリー、フリスとソア、いろいろな恋愛がえがかれています。

その中で、多分、ジェームズとシドの恋愛だけが、先に続いていかない。
なぜなら、2人ともに自分のするべき目的、義務があり、それが、まったく別々の場所にあることをしっているから。
自分が、目的のない場所に行って死んだようになることをしっているのと同様に、相手も、もしまちがった場所にとどまれば死んだようになることをしっているからです。

うーん。ジェームズ自身も、もしかすると、積極的にならなかったのは、その手詰まりを知っていたからかもしれません。

ソアの闇をのぞき込んだフリス。人ごとではなくなっているから、その闇が自分自身に突き刺さります。

そして、ついに、ジェームズとシドが…。
でも、これで、終わらないところが、獸木 野生のすごいところ。その直後に、オワキングの問題で、シドとジェームズを対立させています。
ある意味、生き方が違う。

そして、生き方が違うにもかかわらず、お互いにとって、お互いが、とても大切な、重要な人間だという。
すごいです境地です。

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愛でなく4 パーム13

前進的治療というのは、理想ではあると思うのですが、なかなか凡人には手を出していいのかどうかわからないところです。
ジェームズのような天才だから、間違えずに処置できるけれど、失敗すると影響が全体に出てしまう可能性がある気がします。

もっとも、専門的な治療も、細部と全体はつながっているので、全体に影響していくわけですが……。

躁状態のジェームズは、けっこう新鮮でおもしろかったです。
わたしも、アンジュラと同じ感想です。

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愛でなく3 パーム12

フロイドとビアトリスの出した結論が、けっこう好きでした。

それから、アイリーンも、かわいらしいと思います。

アイリーンと、フォアウッドは、けっこう似ているところもあると思うので、彼の恋愛も、語られることがあるのでしょうか?

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愛でなく2 パーム11

このアンディの成長編は、読んだ当時からすごいショッキングでした。

マンガのなかで、こんな風に人の成長が描けるというのにビックリしました。
ものすごく急激な成長でありながら、ゆるやかで無理なく、そして、共感できる成長のしかただと思います。