海よりも深く6
ラスト。
「男と女」のあたりは、上手く入らなかったこと、入れたかったこと、全部、セリフで詰め込んだ感が多少ありますが、きっちりと全部落ち着くところに落ち着いて、素晴らしい。
そして、あの向けられた悪意にもかかわらず、美賀子に、
「来てくれてうれしい!」
と言える、眠子の強さ。
こうでありたいと思います。
十三をめぐる過去、現在、未来の女が出てくる1巻。
少女マンガ的に、1番の相手を決めたら、1番を最優先してくれるある意味理想の十三です。これが、少年マンガの場合だと、1番の相手はいつも後回しになっちゃうわけですが。
それでも、この人のマンガが凄いのは、その十三がでも、けっこう流されやすいぞということまでかいちゃうとろこですねぇ。シビア。
この展開読んで、
「十三、オイオイ」
と思うよねぇ。
まあ、これは未来が一瞬のうちに見せられている所為もあって、そりゃあ、そう言う展開もありうるとは思うのですが。
つまり、これはなにをかいているかというと、元妻と一緒にいるときに、眠子と出会っていたら、十三は眠子とは付き合うことは絶対になかったということです。
いや、そうかくと、そりゃあそうだと思ってしまうのですが、じゃあ今、眠子のことを無二の存在と思っている十三って……。
運命とかではなくて、タイミングで「そのたった1人」は決まるっていうことなんですよねぇ。まあ、もちろん相性とかいろいろあるんだろうけれど、「そのたった1人」が決まるのは、その時、その時のタイミング次第。タイミングが違えば、その相手も代わってしまう。
そして、多分、未来の妻の性格がとっても悪くても、眠子の前で見せる姿と十三の前で見せる姿は違うので、見せられた未来と同じように、それなりに倖せなカップルになれるという。
この作者、気の強い人かくの上手いなぁと思っていましたが、作者自身もすごい強いし、性格悪いものをもっているなぁ。
そして、それが見事に作品をつくっている。