小野不由美,読書マンガ,小野 不由美,屍鬼,新潮文庫,新潮社,藤崎 竜

屍鬼

原作の方の「屍鬼」。
藤崎 竜のマンガ版を読んだのは、もう10年ぐらい前になるのですね。

この人も、文章とか雰囲気づくりがめちゃくちゃうまいですねぇ。それを堪能しながら読んでおります。

全体として、閉鎖的な村の不気味さみたいなところ、雰囲気が物語の底に流れているのですが、それぞれの登場人物の立場によって、それに対する感じ方が違うというのが、すごく上手に出ています。これ、理解はしているけれど、1人の人間が書くわけで、けっこう書けていない物語も多いです。まあ、ものによっちゃ、一人称だったり、視点固定だったりしますしね。
でも、この人の場合は、全然逆に見える事があるよというのを丁寧に丁寧に書いていきます。
ただ、それでいて、全体として統一したイメージができているというのが、凄いなあと。

まあ、その分雰囲気を作り出すのに時間がかかって、物語が動いている感じがあんまりしないという問題はあるかと思いますが。
でも、その雰囲気にどっぷり浸かっちゃうと、物語の進行がどうでも良くなってくる気がする。そして、もちろん物語もおもしろいんですけどね。そこにいけるかどうかで、読者を選ぶお話かもしれません。そして、はまった人は、なんか語りたくなる感じのお話。

ブレイディみかこ,読書ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー,ブレイディ みかこ,新潮文庫,新潮社,町山 智浩,THIS IS JAPAN

THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」という本があって、ちょっと題名が格好いい。そして、表紙のイラストも素敵な感じです。
で、新潮文庫で、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の文庫を見つけた時に、こっちもあって順番に読んで見ようということで、購入。

いや、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」とか、「THIS IS JAPAN」という題名から、もっと軽いエッセイみたいなものを想像していました。町山 智浩みたいなやつ。あれよりも、もうちょっと、ウェットな感じかなぁと。ブレイディ みかこという名前も、ペンネームだと思っていたしねぇ。

1章読んでみて、ビックリしました。ガチガチのストロングスタイルじゃねぇか。
でも、おもしろい。そして、日本の常識が、必ずしも常識でないことを思い知らされる。そこには、良いところも悪いところもあるんだけどもねぇ。

なんというか、日本人の労働系の組織って、簡単な内部闘争させられて弱体化されることが多いなぁと。これは、労働そのものに過剰に価値を置いてしまうからかもしれない。優秀な人が早く仕事が終わったら、無償でヘルプに行かないといけないみたいな雰囲気はあるよねぇ。学校でも、自分のことが終わったら人を遊んでないで人を助けろと教えられるし。まあ、それが必ずしも悪いというわけではなくて、わたしなんかは、それに助けられているのはたしかなのだが、それでも、そういう「仕事」の価値は「お金」ではかれないみたいな美徳の部分が弱点になって、いいように分断させられている感じはします。

思ってたのと違ったけれど、それなりにおもしろかったり、考えさせられたりしました。

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応天の門14

業平の伊勢の一夜。
なるほど、こうきたかという感じですねぇ。上手に、「伊勢物語」のエピソードを「応天の門」の解釈にしています。

基経は、道真サイドとしては、まあ厄介な感じなのですが、実はそんなにひどい人でもないのかもと思ったりしております。
まあ、政治がらみをさけたいのなら、関わらないのは吉には違いない。

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応天の門13

才を発揮すれば、望む望まざるに関わらず人の目にはついてしまって利用される。しかし、それが嫌だからといって救える人を救わなくていいのか。
そのあたりの葛藤がおもしろいですねぇ。

メインのストーリーが、ものすごく遠回りにしかすすんでいない感じがもどかしくもあり、リアルに感じたりもします。

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応天の門12

いやぁ、ラスボスというか敵だと思って出てきて、まあ、これから敵になるんだろうと思う人物が、なかなか敵にならないこの展開って、めっちゃ面白い。
実際、敵認定して闘うのではなくて、なんか状況がそうさせてしまうところもあるんだろうなぁという。まあでも、相容れない部分は、しっかりと書いていく。その積み重ねで物語ができていくのがきもちいいです。

桃源郷のお話などを通して、杓子定規であることが正義ではないと、道真も学んでいる感じです。