サイモン・シン,読書,青木薫哲学,哲学的な何か、あと数学とか,数学,新潮文庫,新潮社

フェルマーの最終定理

真面目なやつ。
まあ、わたしら一般ピーブルは、「哲学的な何か、あと数学とか」を読んでいたら、それで充分な気もする。

テストも何もなく、モジベーションをあげるためだけにこういう「数学史」とか、「科学史」みたいな聞き流す授業があったらいいと思うのだが、やってみるとけっこう難しいのかもしれないと、今は思っています。

単純に「効率」だけを考えると無駄な感じがするので(←ただし、感じがするだけで本当は有効かもしれなかったりするけれど、それをはかるのは難しいですねぇ)。そして、それを入れる時間もないか。

まあ、知識のおもしろさというのは、一定以上の知識の上に成り立っているみたいところはあって、その一定を超えられるかどうかで、世界は違って見えると思います。

伊達雅彦,読書エッセイ,リアル,伊達 雅彦,傷だらけの店長,新潮文庫,新潮社

傷だらけの店長 街の本屋24時

本屋さんエッセイのなかでも、かなりつらいお話だと思います。
本好きなので、本に囲まれて幸せ的なエッセイが多いジャンルだと思うし、今まで読んできたのは、そういうのが多かった。
大変だけど、本屋やりたいなぁという感じです。
まあ、この本だってそういう側面がないわけではないけれど、置かれている状況のリアルなキツさが伝わってくる。

うーん、店長といいつつ、チェーン店の雇われ店長で、自分の店を持っていないというのが、1番つらいところかなぁと読みながら感じていました。

まあ、完全に個人経営の「自分の店」が、今、成り立つのかというと、難しいものはあるのですけどねぇ。
膳所駅前の「あゆみ書店」も、浜大津駅近くの「浜書房」もなくなっちゃいました。
ある程度のストックできるだけの広さがないと無理だしなぁ。

本屋が好きなぼくたちでも、ネット通販の便利さには逆らえない。

そうして、どんどん、この世界から本屋が減っていくのは、とっても悲しいことではあります。

小野不由美,読書マンガ,小野 不由美,屍鬼,新潮文庫,新潮社,藤崎 竜

屍鬼

原作の方の「屍鬼」。
藤崎 竜のマンガ版を読んだのは、もう10年ぐらい前になるのですね。

この人も、文章とか雰囲気づくりがめちゃくちゃうまいですねぇ。それを堪能しながら読んでおります。

全体として、閉鎖的な村の不気味さみたいなところ、雰囲気が物語の底に流れているのですが、それぞれの登場人物の立場によって、それに対する感じ方が違うというのが、すごく上手に出ています。これ、理解はしているけれど、1人の人間が書くわけで、けっこう書けていない物語も多いです。まあ、ものによっちゃ、一人称だったり、視点固定だったりしますしね。
でも、この人の場合は、全然逆に見える事があるよというのを丁寧に丁寧に書いていきます。
ただ、それでいて、全体として統一したイメージができているというのが、凄いなあと。

まあ、その分雰囲気を作り出すのに時間がかかって、物語が動いている感じがあんまりしないという問題はあるかと思いますが。
でも、その雰囲気にどっぷり浸かっちゃうと、物語の進行がどうでも良くなってくる気がする。そして、もちろん物語もおもしろいんですけどね。そこにいけるかどうかで、読者を選ぶお話かもしれません。そして、はまった人は、なんか語りたくなる感じのお話。

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ヘルマン・ヘッセ全集3 ペーター・カーメンツィント 物語集1 1900-1903

ここからが、本格的にわたしの知っているヘルマン・ヘッセです。
「ペーター・カーメンツィント」は、ヘッセのいいところが全部出ているお話だと思います。
元々、新潮文庫版で、「春の嵐(ゲルトルート)」を読んで、「郷愁(ペーター・カーメンツィント)」を読んで、「デミアン(デーミアン)」に至るというこの順番も、ヘッセへの出会い方としてものすごく良かったのだと思います。
「春の嵐」が、めちゃくちゃおもしろくって、「郷愁」でほっこりして、「デミアン」で衝撃を受けるという。まあ、たしか「郷愁」と「デミアン」の間に「車輪の下」があったはずですが、これは、あんまりいい印象がないです。

まあ、なんというか、読んでいてものすごい多幸感に包まれておりました。
短編も、なんだろう若い作家のはずなのに、もうベテランみたいな感じが出ています。

次は、「車輪の下」で、ちょっと苦しそうですが、今なら、印象変わるかなとも思っています。

ブレイディみかこ,読書ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー,ブレイディ みかこ,新潮文庫,新潮社,町山 智浩,THIS IS JAPAN

THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」という本があって、ちょっと題名が格好いい。そして、表紙のイラストも素敵な感じです。
で、新潮文庫で、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」の文庫を見つけた時に、こっちもあって順番に読んで見ようということで、購入。

いや、「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」とか、「THIS IS JAPAN」という題名から、もっと軽いエッセイみたいなものを想像していました。町山 智浩みたいなやつ。あれよりも、もうちょっと、ウェットな感じかなぁと。ブレイディ みかこという名前も、ペンネームだと思っていたしねぇ。

1章読んでみて、ビックリしました。ガチガチのストロングスタイルじゃねぇか。
でも、おもしろい。そして、日本の常識が、必ずしも常識でないことを思い知らされる。そこには、良いところも悪いところもあるんだけどもねぇ。

なんというか、日本人の労働系の組織って、簡単な内部闘争させられて弱体化されることが多いなぁと。これは、労働そのものに過剰に価値を置いてしまうからかもしれない。優秀な人が早く仕事が終わったら、無償でヘルプに行かないといけないみたいな雰囲気はあるよねぇ。学校でも、自分のことが終わったら人を遊んでないで人を助けろと教えられるし。まあ、それが必ずしも悪いというわけではなくて、わたしなんかは、それに助けられているのはたしかなのだが、それでも、そういう「仕事」の価値は「お金」ではかれないみたいな美徳の部分が弱点になって、いいように分断させられている感じはします。

思ってたのと違ったけれど、それなりにおもしろかったり、考えさせられたりしました。