文学一覧

偽史

沈黙/アビシニアン

古川 日出男、2冊目。いや、「砂の王」1巻目からかぞえて、3冊目か。次は、いよいよ「アラビアの夜の種族」で、これは、「砂の王」を含んだお話だそうです。
期待がふくらみます。

沈黙

偽の歴史。
古川 日出男、嘘を語らせたら天下一品です。
今回は、その嘘の語り方の秘密を垣間見競るようなお話でした。そして、多分、それも嘘。彼自身は、そんな方法で物語を生み出しているわけではない……ような気がする。

音楽と悪の戦いの記録。でもそれは、あまりにも絶望的な戦い。
竜を追うものは、いずれ自分も竜になる運命をもつ。
スリリングでした。

アビシニアン

「沈黙」が壮大な大嘘だったのに対して、こっちは、テーマ的には、個人の再生みたいな小さなテーマです。
でも、その再生の仕方が、ものすごく気持ちよくって、こっちの方が好みかも。まあ、「沈黙」は、けっこう救いのない話だったので。
おもしろさでは「沈黙」なんだけれど。
でも、なんでそれが救いになるかのは、実は、わたしには、よく理解できていないんですけどね。

しかし、文学で文字の否定をするところが、この人らしいどんでん返しです。
そして、女の子が、物語がはじまった時と、別人に成長しているのですが、その変化に無理がないところが、凄い。

個人的には、「ミツバチのささやき」が、作中に流れていたのも、ツボなのです。あれ、不思議な映画ですよねぇ。兄貴とわたしで、まったく読み取ったストーリーが違っていました。


ここからが後半戦

武田泰淳 ちくま日本文学全集42

えーと、この本が出たのが1992年だそうです。今から、18年ぐらい前ですね。
多分、当時、この巻までは買って、「ちくま日本文学全集」を買わなくなっていたんです。

この当時、この全集の企画は、全50巻。あとで、10巻伸びましたが。あと、8巻だったのに、力尽きたのです。
まあでも、十数年後、 全巻そろえたわけですが。

続かなかったのは、経済的な理由もあったと思うけど、きっとこのあたりから、知らない名前が増えてきたためだと思われます。

で、武田泰淳。この人も、知らない。わたしの文学史のなかには、ない名前だ。だいたい、読み方も、わかりませんでした。たけだたいじゅん?えっ、それで、あっているのか?

「秋風秋雨人を愁殺す」以外は、全部おもしろかった。でも、1番長いこの話が、イマイチ。それって、どうよ。


実験マンガ

漫画大学 手塚治虫文庫全集

いろんな実験マンガが載っています。

しかし、本当に、マンガ内マンガも、純文学のマンガ化も、マンガのかき方入門も、オムニバスも、手塚 治虫が作っていったものなんだなぁと感心します。


なくした時間…

きみを守るためにぼくは夢をみる

第1章を読んだときは、10歳のナイトみたいな少年のデート(しかも相手が、あの川原 砂緒ですよ!!)ということで、若干、

けっ!

とか思いました。

でも、2章からが、せつない。自分だけが7年間という時間をなくしてしまうのです。理屈は、一切なし(笑)

今までの白倉作品、大塚作品とも、リンクしいて--というか、名前が同じだけで生い立ちとかは全然違うわけですが--そうか、最近は、貴生とはつきあってないのか、あんまりしあわせそうじゃなかったもんな……とか、公彦、やっぱり大きくなったら、狂気を抱えてしまうのかとか、思ってしまいます。

まあ、そういう読み方じゃなくて、そういう名前の俳優さんが、その役をやっているという、手塚 治虫や、獸木 野生のスターシステムみたいなものだと思ってみるのが正しいんだと思います。

というか、もっと1つずつみるのが、もっと正しい読み方で、こういう読み方は、まんまと罠にはまっているのかも……。

砂緒ちゃんがねぇ、主人公の朔の一人称なのでよけいにということもありますが、砂緒ちゃんの気持ちが、見えてこないんですよ。
めちゃくちゃ純粋なまま7年間を過ごしたんだと思うけれど、公彦と一緒にいることで、何か感じるところはなかったのかとか……。
ある意味、本当に永遠の少女です。

一貫して、白倉 由美のテーマは、「大人になる」ということだった気がするので、児童文学という選択肢はありかなぁと思います。
ただ、他の児童文学と同じく、本当にその言葉が、子どもに届くかというと……難しいかも。

あぁでも、1人でも届けば、それはそれで意味のあることなのかも。


最後の戦いへ序章

ダレン・シャン7

いよいよ、パンパニー大王の追跡が始まりました。

成り立てのバンパイアの1巻から3巻までが第1部、バンパイア・マウンテンでの活躍をかく4巻から6巻までを第2部とするならば、バンパニーズ大王との対決をかくこの第3部は、この物語のクライマックスとなるはずです。

バンパイアたちは、基本的に「男の子」であり、そういう意味では、精神的にはほとんど成長しません。
だから、途中で読者自身も成長していかなければ読めない「ハリー・ポッター」よりも、こっちの方が、子どもには向いているかもしれません。

しかし、児童文学のヒーローのなかで、ダレンって、1番ビジュアルが悪そうなヒーローです。禿頭、傷だらけ、青白い……。マンガでは、どうなっているんだろう。

ダレン・シャン,Darren Shan,
橋本 恵
小学館
発売日:2007-02