アリオン4
「アリオン」、最終巻。
今になって読み返せば、安彦 良和は、やっぱりシナリオが甘いし、つっこみどころはいろいろあります。
でも、連載されていたあの時代、ものすごく新しく感じたことは確かです。
もちろん、絵の魅力もあったんだけれど、なんだろう少女マンガにしかなかった子どもだましではない物語を少年マンガで読ませてもらえた感じなのかも。
単行本コミックスのマンガが、文庫になるときに、ちょっと不満があります。
それは、作者がコミックスになったときに、ちょうどいいところで切れることを考えているのに、文庫にするときにその構成がダメになったチャウことですねぇ。そこは、作者の意図をくみ取って文庫の構成をして欲しいです。
ということで、文庫版ではこの3巻の途中からはじまる「プロメテウスの章」ですが、もとのコミックスでは、元のコミックスでは4巻まるまるが過去編でした。
この1巻まるまる過去編というのは、ものすごくシビれた。
そういうことしたマンガって、わたしが読んだ中では、「アリオン」がはじめてで、もしかしたら、マンガ史上はじめでないかと思っているのですが、違うのかな。まあ、それ以前にも「超人ロック」みたいにちょうど1巻で、1話が終わるマンガはあったのですが、回想して、ずっと1巻かえってこなかいというのは、本当に衝撃的でした。
めっちゃ、この展開が、熱いと思っていました。なんなら、アリオンで1番盛り上がっているのは、「プロメテウスの章」だと思っていましたから。まあ、今読むと、そこまでの衝撃はないですねぇ。
でも、多分、安彦 良和、マンガ家としても、けっこうすごいことをしている人だと思います。この後、けっこう、回想篇からもどってこないマンガって、結構出たので、すごい影響力があったのではないかと思っています。
「天才柳沢教授の生活」とかで、過去編からなかなかかえってこなくなったのは、このマンガの後のはず。
そして、過去編は盛り上がるという前例を作っていった。それまでのマンガって、こういう構成はゆるされていなかったのでは……。
とここまでかいて、「風と木の詩」のことを思い出しました。あれも、過去編がながいマンガですよねぇ。あっちの方が、先ですね。多分。
完結編。
いやぁ、読むたびに、やっぱりおもしろいわと思います。
「ウィリアム大おじさま」が、身内からも、社交界からも、一切姿形すら秘されていたのは、なんででしたっけ?
遺産が莫大すぎて、命狙われるとか?
とかの疑問は残るのですが。
中島 梓の解説は、まったくその通りです。これ絶対後世にも残っていくポテンシャルを持った作品です。
だからこそ、今、封印作品として読めない状態であるというのが、残念です。
ちなみに、今、アマゾンを見てみたら文庫本全6巻(古本)1万円ぐらいでした。
そういえば、確か日本は養女の結婚はダメだったと思うのですが、この世界では大丈夫なのかな?
いや、結婚はしていないか。
ちなみにわたしは、パティ派です。