ドラゴンランス伝説4 レオルクスの英雄
彼が力を手に入れたいと思うのは、「暗黒の女王」の支配からこの世界を救いたいと思っているから。
でも、人は彼が神になりかわろうとしているように感じる(そして、それは間違えではない)
それでも、彼の支配する世界は、多分、慈悲深いものであう。
では、正しいことを成すために、間違った道を進むことは、正しいことなのでしょうか?
確かに、「ドラゴンランス」を読んだ人が求めるようなものは、「ドラゴンランス伝説」の方にはないかなぁと思った1冊でした。
だから、どっちかというと、レイストリンもしくか、双子ファンにむけた外伝みたいなのりで読むべきなのかなぁ。
わたしは、けっこうレイストリンのファンなので、許しているところがあるのかもしれません。
ただ、キャラモンの欠点が見えてきたり、時間テーマのSFの様にも見えるこの作品というのは、やっぱり、物語の水準としては、とっても高いと思います。
だから、「ドラゴンランス」の続編という色眼鏡をかけないで読む方が、楽しめるかも。
実は、「伝説」が、前の「ドラゴンランス」ほど売り上げがよくないと聞いて、ショックを受けています。
たしかに、パーティをくんでなかったりと、RPG小説(というのがあるのかどうか知らないが)のお約束からは、はずれちゃっているのですが、すごいおもしろいと思うのですが。
でも、確かに、ちょっと「少年らしさ」みたいなものは、少なくなったかも。
1巻は、モロに生活臭のするお話でしたし。
でも、その分、みんな、人間らしく書けていると思います。
肉体に引っぱられるレイストとかは、とっても魅力的です。
うむ。コンプレックスが強いので、この魔術師は、大好きですねぇ。
きっと、彼のことが好きな人は、みんな自分の弱さを知っている人だと思います。
おもしろかったです。
おもしろかったのですが……。
今まで、「どろぼうの神さま」と「竜の騎士」を読んで、わたしがフンケにもとめていたおもしろさと、この本のおもしろさは、少し違ったようです。
まあ、途中、修羅場が入ったということや、他の本に比べて厚いということもあるのですが、他の2冊に比べて、読むのにけっこう時間がかかったのは事実。
理由は、わかっています。
カプリコーンをはじめとする「悪者」たちの存在です。
「どろぼうの神さま」には、明確な悪者って、でてこなかった気がします。
「竜の騎士」には、金の君が出てきましたが、どこか、ユーモラスでした。しかも、悪いのは、個人で、部下は、イヤイヤしたがっている感じ。
でも、「魔法の声」の悪者たちは、本当に、悪い感じがするんですねぇ。
そして、その分、主人公たちのいたぶられ方が、いたいたしいんです。
わたしは、エリノアが、本を燃やされたところとかは、本当にきつくて読めなかったですよ。
多分、フンケにとって、こう感想を書かれることは、「成功」なのだと思います。
今までとは、違った「指輪物語」などにつながる、「嘘だけど本当の話」をつくりだしたかったんだと思います。
たしかに、何もかもに向けられる「悪意」というのは、あるのだと思います。
「魔法の声」は、続編が書かれているそうです。
どうか、魔法の声から生み出される物語が、しあわせな物語でありますようにと、祈っています。
これで、今まで買っただけで読めなかったシリーズに続いていくことができます。
おもしろい。