黄金の盾 グイン・サーガ外伝26
いいなぁ。この人、グイグイくるなぁ。
実は、この人が1番、栗本 薫の気質に近いのじゃないかと思います。
「アムブラの休日」も良かった。
なんていうか、王道のお話をきっちり照れずにかけるというのは、ひとつの才能だと思います。
そして、本編は、これさえも飲み込んで進んで行けよと思います。
「グイン・サーガ・ワールド」で読んでいたときは、イマイチとか思っていたのですが、まとまって読むと印象以上に面白かった。
「ワールド」を読んでいる時は、読むのに間があいたせいで、1話1話の話の繋がりが良く理解できて無くてマイナスになっていましたが、今回は、2回目ということで、話もしっかのり入ってきたので、まあ、わたしの最近衰えてきた記憶力の問題かなぁ。
くどいと思っていた描写も、こうやって読むと、広い草原や人の生活を表現するのには、やっぱり必要だったなぁと思いました。
結局、ハシクルの謎は謎のまま、星降る草原に消えていく。そこは、栗本 薫っぽくはないのだけれど、でも、「物語」なのだなぁと感じさせられるのです。
グイン・サーガ、本当の本当の最終巻。
この本に、「ヒプノスの回廊」と「アレナ通り十番地の精霊」が載っているのは、いいチョイスだなとちょっと思った。
「ヒプノスの回廊」は、グインが、これまでのこだわり続けてきたランドックの世界を否定して、今のこの世界に生きることを宣言する話。
ここからは、彼は、ランドックのグインではなくて、ケイロニアのグインであり、中原のグインである。
彼が彼自身を見つけたと感じる物語であり、本当の物語のはじまりでもあります。
そして、「アレナ通り十番街の精霊」は、英雄そのものを否定する話。どんなに英雄が凄かったとしても、世界を動かしているのは、煙とパイプの人々や、そこに集う人々なんだというグイン・サーガそのものを否定してしまうようなお話。
ものすごく、できすぎたありがちなお話で、でも、この1編で、確かにグイン・サーガ150冊に匹敵するだけの力を持っている気がします。1
完結しないグイン・サーガのでもこれは、2つの回答でもあるなぁと思いながら読みました。
さてあとは、ローデスとマルガか。