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はなとゆめ

背景を知ることによって、作品に対する見方がひっくり返ることがあります。
それは、「書かれたテキスト」だけを純粋に読み解くというのとは違って、作品の読まれ方としてはは邪道なのかもしれませんが、知ってしまうと後には戻れない「知」というのが、確かにあると思います。

「枕草子」も、そんな作品の1つです。
多分、放送大学の講義か何かで聞いたのだけと思います。一通り、清少納言の美意識などの話があった後、講義の1番最後で、「枕草子」が書かれた時期についての言及があったのです。

「枕草子」が書かれて成立したのは、1番華やかだった時代ではなくて、もう章子がいなくなった後の時代であったこと。
そして、その時代に書かれたにもかかわらず、没落についての恨み言や後悔は一切なく、ただただ、美しい時代について書いていること。

その解説がミステリーの謎解きのように、すっーと自分の中に入ってきて、今までの自分の知っている「枕草子」が、ひっくり返ってしまいました。

で、この「はなとゆめ」は、その解釈にそった清少納言の姿でした。
だから、「枕草子」の文章だけから感じる清少納言像や、これまでにあった清少納言像、もっといえば、ぼく自身が持っている清少納言のイメージと合っているかというと、微妙に違っています。
でも、その微妙な違いこそが、彼女自身の取り巻く状況と彼女自身が伝えたく表現しようとしたのギャップとして、物語に深みを覚えている感じがしました。
多分、知識を持つことの楽しみというのは、こういうものなのだと思います。
もちろん、知識無しの純粋な楽しみというのもあるのですが、知識を持っていることで、見えている景色が、何倍にもおもしろく感じる。

そこに咲いている花は、そのままでももちろん美しいけれど、「本来、そこには咲いていないはずの花が咲いている」ということを知ることで、新しい見方や、新しい物語が見えてきたりする。
そういえば、和歌もそういうもので、そのものだけでも楽しめるけれど、前提になる歌を知っていることで、風景が何重にも重なった表現を感じることができます。

それは、ひっそりとわかる人だけにあてた秘密のメッセージのようでもある。

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さよならの儀式 年刊日本SF傑作選

順調に読めています。

前の巻の時もかいたけど、読みやすい。
酉島 伝法以外はという限定付ですが、とっても読みやすい。

冲方 丁さんのやつは、最初は読みにくかったけれど、これ、「ファィブスター物語」じゃんかと気づいた途端に、メッチャ目の前に場面が浮かぶようになりました。
いや、ニンジャースレーヤーズしらないので。

しかし、逆に酉島 伝法は、書いてある言葉はわかるのに、まったくどういう状況で、どういう描写なのかがわからなくて、わたしにとっては異質です。
でも、「皆勤の徒」は、賞とってるし、それなりの人が理解して読んでいるということか。
まあ、それでも、初めの方の「年刊日本SF傑作集」は、そういう読みにくいのが2、3篇は入っていた印象なので、丸くなったんだと思います。多分、大森さん一人の選になると、けっこうトンガリすぎるのではないかと……。

宮部みゆきの「さよならの儀式」は、ロボットとの交流ということで好きな奴です。
まあ、短編ということもあって、オチはそんなに気に入らなかったけれど。

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発売日 : 2014-06-28

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冲方 丁のライトノベルの書き方講座

まあ、なんというか、かなり力業で小説書いているがわかります。凄い。凄いと思うけれど、参考になるのかコレ(笑)
趣旨としては、とにかく「書け」だと思います。そして、それが小説を書くということの裾野を広げて、さらに良いものが出てきたらいいなみたいな感じだと思います。そこは、大いに同意します。

書き上げるというのは、大変なことです。

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結晶銀河 年刊日本SF傑作選

前巻から、3年以上かかってしまいました。
ほぼ10年前。10年前なんて、ついこの間のことのようです。なんか、一種SF的な時間の流れの中を生きている気がします。

伴名 練「ゼロ年代の臨界点」とか、山本 弘「アリスへの決別」とか、わかりやすいのが好きです。月村 了衛「機龍警察 火宅」とかもハードボイルドで悪くない。

でも、酉島 伝法「皆勤の徒」とかは、意味も、なにがおもしろいかもさっぱりわからないのでした。いやぁ、これ、苦しかった。

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東京創元社
発売日 : 2011-07-27

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マルドゥック・スクランブル7

きれいな着地でした。
うーん、「マルドゥック・スクランブル」は、恋愛マンガだったのね。

しかし、「聲の形」の原型を持ち込んだ新人マンガ家にこの作品を良くかかせたなぁと思います。