神坂智子一覧

虚実

パールシーの踊り子 天竺夜話1

神坂智子の作品は、実際の歴史の中で展開していく物語が多いです。
代表作である「シルクロード・シリーズ」や、「T.E.ロレンス」、「蒼のマハラジャ」なんかもそうですし、マルコポーロの話もありました。
日本の話である「春・夏・秋・冬」1や、「べんがら格子の家」なんかもそうですね。
レディースコミック系の物語や、短編にちょっと違うのもありますが。

この人の物語のすごいところは、そういった歴史的な史実と物語の部分が、なんというか、すごく地続きに続いているところです。

今回の物語は、英国植民地時代のインド。
インド人として育ったイギリスの少年の物語です。
両方の目をもっているだけに、少年の心は揺れ動きます。
神坂智子の物語は、少年には弱さを、少女には強さをという感じでしょうか。

タージマハルの話なんかは、どこから史実で、どこから物語なのだろうと感心してしまいます。

  1. 「小春びより」は、読んだことがないのです。読みたい []

2つの祖国 小さな理想

空に泳ぐ魚 天竺夜話2

2つの祖国に引き裂かれる。
彼は、マハラジャでも何でもなくて、ただの盗賊団の下っ端。

多分、行きつく先にあるのは、喜劇ではないと思います。
でも、今は、笑っていよう。

今だけのことを考えて……。


気楽になった?

シバの水面 天竺夜話3

彼は、二つの故郷はいらないといいながら、自分が仲間たちを救う力のいくつかが、自分が英国人だからだということには気づいていない。

多分、作者は気づいているんだと思います。
昔の神坂智子なら、主人公をその視点で留めておくことはしなかったと思います。

でも、この作品では、こうなのですね。

これは、神坂智子が、自分の思想や考えを登場人物に押しつけないぐらい余裕を持って物語をかけるようになったということか、それとも、その重たさに耐えきれなくなったのか、どっちだろう?