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蜘蛛の紋様1 パーム30

パームは、わたしにとって他の物語とはちょっと違うところにある物語です。読めることにしあわせを感じられる物語って、そんなにない。
これがまた、わたしがこんなに好きな物語にもかかわらず、割と気の合うはずの周りの物語読みは、あんまり読んでいないというか、共感を得られないというのも、不思議な感じです。
多分、1~2巻読んだ時点で、評価を下してしまっているんだろうなぁと思います。あの頃は、絵もかなり硬質だし、お話もたしかにスムーズでない感じがします。でも、もう少し読んでいけば、はまると思うのですが……。

しかし、20年。掲載誌の「Wings」自体も、大きく変わりました。知っている人、本当にいなくなってしまいましたもんね。そんななかで、変わらずにパームが載るというのは、本当に奇跡みたいなことだと思います。

いつからだろう?こんなにはまったのは。多分、「愛でなく」あたりからだとは思うのですが。

そして、最後の長編「蜘蛛の紋様」がスタートしました。

カーターの一族の物語。

ページをめくって、ビックリしました。いきなり、字、字、字。
一族の物語は、全部、字ですまして、カーターの物語として「蜘蛛の紋様」は語られようとしているようです。

多分、物語のどこかで、情報として与えられたものもあるのですが、こうして物語として目の当たりにすると、その圧倒的な力に呆然としてしまいます。

若い日のカーターが言う。

「人生は残酷で苦痛に満ちている」

と。
その言葉のなんと重たいことか。

そして、わたしたちは、そこから立ち直っていくカーターを知っています。レイフの言葉通り、「本当の幸福を知る人間になる」ことが、この物語の終着点なのでしょうか?

ほんとうは、「愛でなく」ばりの長編になってほしいなぁと思っています。
でも、どれだけ語っても、語り尽くすことはできないのかもしれません。
人生は、物語ではないのだから。

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午前の光3 パーム29

最後の探偵編。
これから、4年後に物語は終わる。それは、多分、決定されたこと。

ジェームズは、4年後の終わりを見据えて物事を動かしているところがある気がします。だから、「ジェームズ・ブライアンの真実」は、彼が生きている間に処理をしなければならなかった。

でも、そう考えると、彼がジョイを受け入れる気になったことの理由は、わたしには見えないのですが。「終わり」よりも先が、彼には見えているのかもしれません。

いつ終わっても、老いても若くても、それは蜜月旅行のうちに終わってしまうということなのでしょうか。

「蜘蛛の文様」は、過去編になるそうです。そうすると、「TASK」で4年の時間が過ぎるか?
なんとなく、何年かすぎた後の舞台が「TASK」という気もします。

はやく続きが読みたいな様な、終わって欲しくないような。
そんな物語です。

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午前の光2 パーム28

「望む物」と「能力」が、かけ離れているときに、悲劇が起きる。
ジェームズの場合も、そうなんだろうなぁと思います。
彼の場合は、「望む物」とくらべて、「能力」が大きすぎて、結局、手に入れるのに苦労するワケなのですが。

確かになぁ、彼のような人間がいれば、周りの人間はイヤでも、彼に問題の解決をゆだねてしまう。
それは、能力をもった者の宿命かも、しれません。

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午前の光1 パーム27

思春期を卒業した(?)アンディの成長ぶりには、わらってしまいます。
うーむ。成長といえるのかどうか。

ちょっと、極端に走るカーターさん。自分が本当に大切に思っている相手に対しては、メチャクチャ不器用なようですね。
ジャネットには、それが通じたようですが、ジョイにまだしっかりと伝わっていないみたいです。

ジョイは、自分のなかの孤独さをジェームズにうつしてみているみたいなところがあって、実は、そのあたりは、恋愛ではないのではないかと思ったりします。
それに、ジェームズにしたって、ギャングがらみのことが一段落しても、彼の「本当の場所」に、ジョイを連れて行くのかどうか?

やっぱり、物語をかく人間には、読者が必要だと思うし…。

まだまだ、始まったばかりで、次の展開が気になるパーム新章です。

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愛でなく6 パーム15

「みんな『愛』と言って、まるで1つのもののようにいうけれど、それぞれに形が全部違う」だから、「それは、自分自身で考えて行動しなければいけない。」

アイリーンとシドのやりとりが、とっても、好きなんですよ。
はじめて、自分の弱みを人に見せるアイリーン。彼女に、ジェームズとの別れを完全に決心したシドが話すというのが、言葉以上に、「それぞれ違う」ということを強調しています。

しかし、ケリーは、アイリーンのどこがよかったんでしょう?
それは、アイリーンでなくても、そう思う。
でも、「どこがよかった。」、「どこそこがよい。」というそういうことではなく、全部うけいれたからこそ、アイリーン自身も、ケリーが彼女のことを思っているということを感じたのだと思います。

そして、シドが行ってしまうことを決心してはじめて、

「とても愛してる」

というジェームズ。

なんか、いろいろな話が一気に終わりに向かって動いていくこの感じは、すごい気持ちのいいものです。

文庫版「愛でなく」は、これで完結。

アンジェラとノーマンの恋愛がかかれなかったのが、心残りです。

しかし、王様のジェームズへの申し出は、ビックリしました。
良く読めば、この結末は、「愛でなく」がはじまった時点から、また、王様に出会ったときから、あんなに明確にしっかりと物語で語られていたし。推理できるはずなのに。
なんか、虚をつかれた感じがしました。それと同時に、その場所こそ、彼がいるべき場所だという気も。

彼自身にとまどいがあるのは、自分の寿命が長くないことをしっているからでしょうか?
でも、だからこそ、急がなければならないとも思ったり。

目を離せない展開です。
すぐに、コミック版の続きを読もう(笑)