松本零士一覧

ヰタ・セクスアリス

四次元世界

松本 零士の初期の作品。
これ、2巻本として小学館文庫から出ていて、小学校時代に古本市でこの本の2巻だけを購入していました。

その頃、松本 零士は、わたしにとっては、「銀河鉄道999」と「宇宙戦艦ヤマト」の松本 零士でした。あと、もうちょっとマニアックなことをいうと、「宇宙海賊キャプテンハーロック」と「1000年女王」と「クイーンエメラルダス」の松本 零士でした。

つまり、アニメとマンガが、まだ自分のなかで未分化だった時代ですね。

松本 零士は、その時代、1番色っぽい絵をかくマンガ家さんでした。
ワープのときに、森 雪が、なぜかヌードになってしまったり、メーテルが意味もなくお風呂に入ったりと……。そのあたりは、強烈な印象を残しています(笑)

まあ、そのころから、松本 零士は、けっこうアダルトよりの作品を発表していたはずです。
で、わたしが初めて読んだアダルトな松本 零士が、この「四次元世界」の2巻目だったわけです。

だから、わたしは基本的にこの本をドキドキしながら、エロ本として読んでいた記憶があります(爆)
でも、今読むと、それほどではないな……時代というものなんでしょう。きっと、昔の方が、わたしも想像力も、妄想力もあったんだと思います。

その後、友だちが、同じ松本 零士の「大不倫伝」なんてのを購入したりして、これは手に入らなくてうらやましかったのを覚えています。
マニアな人間には、マニアな友ですな。

さて、今回読み返してみた(前半部は、今回が初めてです)、四次元世界ですが、そのエッチな部分以外も、けっこう覚えていて、影響をうけているのを思い知らされました。

そういえば、今も昔も、わたしの理想の男の中の男は、大山 トチローでした。

というか、松本 零士、改めて、この時代から、全然かわっていないのだなあ。今にして思うと、わたしが松本 零士のどこに惹かれたのか、惹かれているのかが、とってもよくわかってしまいました。

前半にたくさんある昆虫ものは、ひたすら好きなものをかいている感じがします。
今と比べると、コンプレックスがむき出しの作品です。でも、小学生から中学生にかけての思春期のわたしにとっては、容姿の問題とか、そういったコンプレックスは、ものすごく深刻な重要な問題でした。
そして、「今に見ていろ」という思い。
まあ、よく考えてみたら、松本 零士のかくキャラクターたちは、なんのかんのといって(最終的にはふられるにせよ)、けっこう女の子に優しくしてもらったり、つきあったりしているので、実は、その頃の私にとっては仲間ではなくだまされていたのですが(笑)

でも、そのコンプレックスを内にためて、がんばっていくというのは、やっぱりものすごく共感が出来る物語だったのです。

あと、「古本屋古本堂」の主人公とかは、今でも完璧に自分のことではないかと思ってしまいます。この物語に影響されて、今の自分ができあがっているのかもしれない。

「枯木霊歌」のドクロが歌う歌は、曲をつけて自分で歌っていました。読んで思い出したら、今でも歌えた!!

こう思うと、エッチ以外の部分でも(今回、読み返して意外とエッチのシーンが少なかったのは先に書いたとおりですが)、このお話たちが、ものすごく好きだったのがよくわかります。

次は、幻の「大不倫伝」が読みたいなぁ。


首つりアパート

聖凡人伝1

これは、はじめて読みました。
「男おいどん」のアダルト版みたいなお話です。

「男おいどん」には、守り神がいて、なんとなく夢があったのに比べて、こちらはちょっと乾いた感じです。なんせ舞台は、首つりの名所みたいなアパート。

でも、悲惨な人生だといいながら(いや、いってないか?)、けっこうヤることはヤっている人生です。

キーパーソンぼい、野田さんが、いきなりあんなことになったのは、ビックリしました。


けっこううらやましい人生?

聖凡人伝2

しかし、あんまり仕事もせずに、それなりに女の子の出入りもあって、家賃はただ、早名さんからはなぜかとても愛されている気がする……。

けっこう、出戻 始、うらやましい人生では?

まあ、それが、自分の力でかちとったものではないとわかっているから、それに満足できないところがあって、それが男の……という感じなんだろうなぁ。

でも、好きですよ。こういう人。


終わらない生を生きよう

聖凡人伝3

早名さんも、とうとう……。というエピソードは、さすがに、ショックでした。
まあ、誤解で良かった。

しかし、松本 零士のすごいところは、自分のやっているくりかえしに飽きないところだと思います。
同じパターンでも、おもしろいと信じて繰り返し繰り返しやっていると、本当におもしろくなってくるみたいな。

物語の区切りに、ナレーションが入るの構成なんて、この人のほとんどの作品で共通しています。でも、それが、様式美みたいになっていると思います。

「世も末だという言葉はあるが
 世の末が来たためしはまだないのだ」

とか、最後のナレーション、ものすごい名言があります。


大マンネリズム

聖凡人伝4

基本的に、ストーリーはないのです。
これを続けるというのは、けっこう、作者にとっても難しいことだと思うのですが、松本 零士にとっては、そうでもないのかな?


同じレベルと思っていたら…

聖凡人伝5

なんだかんだといって、けっこう女々しい主人公だと思います。
特に最後の屋台の人が家庭を持っているところにショックを受けるところとか。

でも、その女々しさが、「凡人」なのかもしれないとも思います。


永遠の青春

聖凡人伝6

「聖凡人伝」も、これで完結です。

このマンガのすごいところは、何十年か後、松本 零士が生きていたら、突然、また、きのうのことのようにはじまりそうなところですね。

「男おいどん」は、おいどんが旅に出るところで終わっていますが、出戻 始のこの日常は、今も続いています。
しあわせでもなく、さりとて、不幸でもなく。

それは、永遠に続く、青春時代かも。


帰らざる時、キミの背中

帰らざる時の物語

「四次元世界」に続く、少年時代に読んだ大人の松本 零士です。
「四次元世界」は、昔の小学館文庫から出ていましたが、こっちは、昔の秋田漫画文庫からでていたと思います。マンガの文庫本ブームみたいなのがあって、大人が読むのにも耐えられるのは、けっこう文庫出てていたのかな?
たしか、萩尾 望都の「百億の昼と千億の夜」も、秋田漫画文庫で、1番最初に読んだのです。

前も書いたけれど、本当に、松本 零士は変わらない。かわらないから、もしかして凄いのかも。

すでに、今と同じテーマ、時間の輪の物語をかききっています。


星を見上げて

銀河鉄道の夜

「第1部」、「第2部」にわかれていたりして、目次だけ見ると長編かと思うのですが、短編です。多分、連作でもないと思うのですが……。

本人の中では、連作だったのかも。というか、松本 零士のなかでは、自分の生涯の仕事、全部の物語が、つながっているような気もします。

表題作は、原作、宮沢 賢治とかいてありますが、まあ、原作というよりも、原案的な感じです。オマージュ。でもこれは、たしかに、「銀河鉄道999」の原型なのだと思います。

この人は、短編の名手だったのですが、中編の方があまりにも有名になりすぎて、短編が散逸してしまっている気もします。
全集的なものが、出版されるとうれしいです。


松本 零士の最高傑作

クイーンエメラルダス1

松本 零士のかくキャラクターのなかで、誰が1番好きかというと、大山 トチローが大好きなんです。
ということで、大山 トチローの永遠の恋人・エメラルダスの物語「クイーンエメラルダス」は、わたしにとっては、松本 零士の最高傑作の1つだと思います。

もっとも、この1巻目には、トチローのトの字も出てこないんですけどね。

さらに、多分、エメラルダスがさがしているものって、トチローの消息だと思うのですが、どうして、

「わたしがさがしもとめているものがなにかを知ったら…海野広は、わたしを殺そうとするだろう」

なのか、まったく意味がわかりませんが(笑)

うーん、エメラルダのお話は、この「クイーンエメラルダス」というお話だけで閉じているのではなくて、「宇宙海賊キャプテンハーロック」や、「ニーベルングの指輪」、「銀河鉄道999」などの中で何度も語られる、お互いに細かいところは矛盾していたりする物語全部を含んでおもしろいのです。

スターシステムを使ってかいているマンガ家ってけっこういるのですが、こうやって、どの作品も、結びついていないようで結びついている作風っていうのは、松本 零士ならではだと思います。