広瀬正一覧

何人も同時に存在する「自分」

マイナス・ゼロ 広瀬正・小説全集1

ちょっと前から気になっていた広瀬 正の小説全集が文庫化ということで、読んでみました。

時間SFです。
時間SFは、実は、頭があんまり良くないので、何回か読まないと理解できないという……。あっちにも、こっちにも自分がいたり、完全に閉じた系を時間のなかに作ったりというのは、けっこうおもしろかったですけども……。それが、知的ななにかの発見に繋がっているかというと、あんまり繋がっていない。
どっちかというと、まあ、ある人の不思議な人生という感じです。

けっこう、飛躍したことをかいているのですが、表現とか描写は、ものすごく地に足が付いています。よくいうと、リアル。感じた印象をそのまま言葉にすると、「地味」でした。

多分、過去の描写とかは、ものすごくその時代の人には、感じるところがあるんだろうなぁと思います。でも、わたしは、あんまりノスタルジィってわからないのです。

地味で、真面目で、あっけらかん。
おもしろくないことはないけれど。

そんな感じの1冊でした。


裸の王様

ツィス 広瀬正・小説全集2

音が聞こえる。それからはじまるパニック小説。
そして、やっぱり、「マイナス・ゼロ」と同じく、地味だ。

以下、ネタバレありです。

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もしもあのとき…

エロス 広瀬正・小説全集3

「エロス」なんて題名ですが、広瀬 正の小説に色っぽさを求めてはいけないのは、もう、学習済み(笑)

現在と、過去、それから、もう1つの過去。
もしあのとき、こちらではなくて、あちらを選択したら……。という、IFものです。

ただし、やっぱり(?)、広瀬 正なので、ものすごく地味です。そして、細かい。でも、それは、今のまでちょっと感じた、無駄な細かさというのではなくて、なかなか、活かされていたと思います。

でも、今まで読んだ「マイナス・ゼロ」、「ツィス」、「エロス」の3冊のなかでは、この本が1番おもしろかったです。

途中で、「もうひつとの過去」の方が、実は……。

というのは、わかってしまったのですが、それでも、最後までしっかりとよませる力があります。

あぁ、こっちの人が、影響していたのか……。

というのは、けっこう、最後、「やられた」という感じでした。


夢をみたのは、どちらでしょう?

鏡の国のアリス 広瀬正・小説全集4

中・短編集です。

表題作のオチは、「ツィス」と「エロス」を足した様な感じです。

でも、この小説のおもしろさは、鏡に関するウンチクにある気がします。
途中から、さっぱり、理解できなくなるのですが、でも、そういう、ウンチクを聞くのは好きです。


すべては、タイムマシン

T型フォード殺人事件 広瀬正・小説全集5

題作は、SFではなくて、ミステリー。
でも、この人にとっては、映写機も、T型フォードも、きっと、タイムマシンだったんだと思う。

そして、戻りたい時代は1つだけ。あの江戸っ子の気質が残る東京の下町。

ということを「立体交差」を読みながら、感じていました。


人の心はタイムマシン

タイム・マシンのつくり方 広瀬正・小説全集6

「広瀬正・小説全集」の最終巻です。

筒井 康隆は、解説で、この人が時間テーマにこだわったのは、売れなかったせいだみたいなことを書いていますし、星 新一も、そう思っていたフシがあるみたいですが……。

確かにその一面はあるかもしれないけど、この人のこだわりが、まさにそこにあったことの方が大きいと思います。けっこう、ノリノリでこれらの作品はこれらの作品で書かれている気がする。
どうだろう?

確かに売れなくて腐るきもちもあったと思うけど、それは、自分の好きな物が、どうしても受け入れてもらえないのではないかという、そっちの方に原因がある気がします。

まあ、そうは言っても、よくしっているわけではなくて、小説を読んだ印象です。