中山星香一覧

少しずつ、自分で枠をひろげる

13枚綴りのお客人

ちょっと、一条ゆかりの「こいきな奴ら」を思い出しました。1977年から1983年までの作品が掲載されています。時代的にも、もしかしたら、一緒なのかも。

中山星香というひとは、かなりしっかりとした「自分のかきたいもの」があって、でも、それはその時代の少女マンガの枠からは、はみ出してしまうものだったようです。
それで、少女マンガという枠組みは崩さないで、そこに少しずつ自分のカラーをいれていくことで、読者や、編集者の枠を広げていったみたいなところがあります。

この本に入っているお話は、そんな時代のお話なのかなぁと思います。

だから、作者にとっては、不本意とはいわないまでも、「かきたいことが全部かけた」とは、微妙に言えないのではないかと思います。
でも、そうしてできた物語が、決して悪いものではなく、多分、その時代にとっては、バランスのいいものにしあがっていると思います。

もちろん、本当の傑作は、自分を解放したときにできるのだと思いますが、こういう試行錯誤の時期というのは、とても大切なのだと思います。



日本のファンタジーの最高峰!

妖精国の騎士1

文庫版も完結しました。
実は、わたしは、文庫で14巻ぐらいまで読んでいたのですが、若干忘れているとろこもあるので、もう1回1巻から読んでみようと思っています。

わたしは、この作品は、日本のハイ・ファンタジーの最高峰だと思っています。

ファンタジーといっても、甘くはないお話です。いきなり1巻から、国が滅びます。
本当に、人間が生きているという感じがする物語です。


ファンタジーを食べて大きくなった

妖精国の騎士2

中山 星香は、流れる血にも、体を構成する細胞も、ファンタジーでできているのだなと思います。
それも、夢物語のファンタジーではなくて、「指輪物語」が形づくった、人が実際に生きているファンタジーです。

今回、運命の恋人、ローゼリィとアーサーが出会います。
このアーサーの書き方1つを見ても、本当に、この人のなかに、ファンタジーが息づいているのがよくわかります。


死すべき定めの人の子に…

妖精国の騎士3

主人公が、ローゼリィという女の子であるということ(まあでも、そこらへんの女の子とはひと味違いますが)が、この物語を他のファンタジーから際だたせていると思います。

同じようにファンタジーとして完成された世界をもつ、トールキンの世界では、ロマンは、すごく遠景なのですが、この作品は、ファンタジーとして完成されながら、しっかりと少女マンガでもある。
その部分が、完結までずっとすすむことができた理由のような気がします。

運命に翻弄されるだけではなく、自分から立ち向かっていこうとする姫君。
そういうお話が、ちゃんとうけいれられているというのは、とても心強いことです。


真王の到来

妖精国の騎士4

アーサーが、グラーンに入国。
真王の帰還を祝福する大地。

こういうシーンを読んでいると、本当に、ファンタジーにふれているなぁと感じさせられます。

素敵だ。


闇の根源へ

妖精国の騎士5

ディオルトの正体にせまっていく、PART5「呪縛の星石」です。

力は、力として存在して、それは正義でも悪でもない。
でも、力は、強力に人をそして魔を誘惑する。

この力の誘惑が、上手にかけたファンタジーというのは、成功するのだと思います。


運命の皮肉

妖精国の騎士6

敵の弱点を探り出すつもりが、その探索自体が、敵を目覚めさせる原因であった。
なんとも皮肉な結果からはじまる物語です。

それこそが、物語を動かすサフィールの強大な力ということになるのかもしれません。

神すら動かしえる力を持つサフィール。でも、小さき人間だからこそ……。


複雑に絡み合う勢力

妖精国の騎士7

黒き血の谷の姿が、少しあきらかに。

しかし、闇でありながら、いろいろな勢力がある。深い世界です。
そして、けっこう、少女マンガが避けて通りそうな根源的な血の物語をかききります。

これは、中山 星香自身のなかで、もう、

「こうであらねばならない」

というものがあって、多分、雑誌の意向とかでは変化し得ない物だったのだと思います。


運命のうねり

妖精国の騎士8

起承転結の「転」だそうで、

「この転で、読者に凍りつかれた」

と作者は書いていますが……そら、凍りつくわ。

特に、ネリーニの一幕は。ここまでの展開は、裏の設定的には思っていても、男でも(というか男ではかも)、かかないですよねぇ。

そして、そのすぐ後におこるのが、黄泉下りと主人公の死ですから。

これをリアルタイムで読んでいた人は、次どうなるか知りたくて、たまらなかったと思います。
まとめ読みでよかったとも思うし、そのドキドキを味わえなくて残念とも思います。