陰陽師 鉄輪
大好きな「鉄輪」。
実は、生成りの姫よりも好きな「鉄輪」。
と思って期待して読んだのですが、あれ、こんなに辛気くさいスピードだったっけ?
おかしいと思って、元本も見てみたけれど、変わってないですね。
今の精神状態と、うまくシンクロしなかったみたいです。
絵も好きなんだけどなぁ。なんでだろう?
久方ぶりに、ねる時間を削って、最後まで読みたいと思わせる小説でした。
ラスト以外は、ずっと映画とかぶっているにもかかわらず。ものすごく、ドキドキしながら最後まで読みました。
ケイトの恋愛が、たった一章で終わっちゃったのとかは、まあ、そうなんだろうと思うけれど、なんていうかやりきれない感じです。
そして、それでも語り出さないケイト。
衝撃のラストは、本当に、予想外でした。
わたしは、もっとオカルトチックなことが起こるのだと思っていました。
そして、ラストでやっとケイトが語り出す。かなり、計算し尽くされた効果でした。
賛否両論は、うなづける。
うーん、お話としては、ものすごく正しい終わり方だと思います。
映画と本と、どっちを先に読んだかで、多分、感想が左右されてしまうぐらい微妙なバランスの上にあると思います。
そして、わたしは映画を先に見た人です。
以下は、それを前提に。
ネタバレありです。
アバーラインが、素敵です。
マンガとして、物語として、ものすごく正しい動きというのがあって、でも、それはわざとらしかったらダメなんです。
今回のヴァイオレットが動き出すシーンなんてのは、まさにマンガとして、物語として、正しい積み重ねで、素晴らしいです。
だから、わたしは、和月 伸宏を信頼しているのだなぁと思います。大好きです。
すごいこと考えるなぁ……と。
例えば、カメラ少年たち。あれって、実際に存在してたら、きっと恵夢たんの内面なんて、なんにも考えてないと思うんです。
でも、恵夢自身に、モノローグさせるわけにはいかない。だからあえて、あのカメラ少年たちに語らせるみたいなテクニック。
末次 由紀……おそろしい子(笑)
このキャラの使い方、ドラマの作り方、少女マンガのボーダーを越えている気がします。いったいどこで、習ったのか?