武装錬金7
ジャンプの中心的な読者的には、「もっと強いキャラクター」を望むわけです。
だから、頭脳で戦うけど武装錬金自体は強くない剛太とかは、あんまり好かれないわけです。
でも、そうすると強さがインフレしていくわけで……。
作者としては限界をもうけて、見せ方を工夫していかないと自分がワンパターンのような気がしてしてしまう。
難しい問題に、和月伸宏は挑んでます。
最初、読んだ時は、オチは好きだけど、できはどうだろう?
というような感想でした。
けっこう、好きなオチではあるけど、電気屋さんがでてきたところあたりから、もう読めていたし…。
でも、子どもたちの前で声に出して読んでみて、ちょっと、印象がかわりました。
安房直子さんの作品って、どれぐらいの年齢の読者に向けて書かれているのかわからないところがあるのですが、この作品は、かなり明確に、「子ども」を意識して書かれているような気がしました。
子どもはねぇ、すごく楽しく聞いていました。
小さい小さいところにも、丁寧な世界があるんだよというそんな感じの連作です。
オチといえるオチはないんだけれども、妙に、ふむふむとうなずいてしまうようなお話です。
「ねこじゃらしの野原」は、人物を中心に広がっていく連作でしたが、この「山の童話 風のローラースケート」は、世界が広がっていく感じでつながる連作です。
安房直子の作品は、わりと1話完結のものしか読んだことがないので、これは、すごく興味深かったです。
森の優しさ、ふところの深さだけではなくて、森野怖さみたいなものもちゃんと書かれていて、それが、また森の風景を魅力的にしています。
特に「花びらづくし」は、出だしから、思いがけないラストまで、すごいドキドキしました。
陰と陽の両方が、しっかりと入っているファンタジーというのは、素晴らしいものです。